ヒガンバナ

有毒植物
学名:Lycoris radiata (L’Hér.) Herb.
科名:ヒガンバナ科
用部:鱗茎
生薬名:石蒜(せきさん)
用途:いんきんたむし、浮腫に外用で
説明文:
多年生草本で、大型の鱗茎があり、外皮は黒く、9月ころ鱗茎から長さ30~40㎝の太い円柱形の花茎を直立させ、その先に、長い花柄をもった真紅色の大形花を数個輪生する。秋のお彼岸の頃になると開花することに名前は由来する。桜などは約二ヶ月かけて開花前線が日本の北まで北上するが、彼岸花の場合は全国一斉に咲くという特徴がある。
地下にある鱗茎をその都度掘り取って水洗いして、外皮と根を取り除き、生のまますりつぶして使用する。鹿児島では膝関節の水抜きに、トウゴマの種子をつぶしたものと混ぜ、土踏まずに貼り付けて用いられる。リコリンなどの有毒な成分を含むので、絶対に食用としてはいけない。鱗茎の乾燥したものは生薬の石蒜(せきさん)といい咳止めに使用する。

薬草の詩:
白秋の詩に「ゴンシャン、ゴンシャン、何処へ行く、赤いお墓のヒガンバナ」というのがあります。ゴンシャンとは良家の子女のこと。恐らく佐賀平野の田圃に広がる風景ではなかったのでしょうか。あそこのヒガンバナは圧巻です。
地方によっては「死人花」といい、往時土葬の風習があったころ、野犬が掘り起こすので、ヒガンバナを埋め込んだといわれます。野犬もヒガンバナの毒を嫌って、掘り返したりしなくなるといいます。何かと死を連想、させるヒガンバナですが、白秋の詩の夕景の中にも死の影はただよっているようです。                                               (竜)

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