✅【その3】(R7.05.23.掲載)
体への悪影響が考えられるPFASの半減期とその仕組み
(腸肝循環が大きく関係)
🔶 半減期について
物質が体内に混入して、新たな追加摂取がない場合、その物質濃度が半分になるまで
の期間(時間)で、半減期が長いと物質によっては体に悪影響を及ぼすことがある。
PFOS・・・平均5.7年(9試験、範囲:1.9年~18年)
PFOA・・・平均3.2年(8試験、範囲:1.2年~8.5年)
参考) PFOS、PFOA に関するQ&A集 2024 年8月時点(環境省)
🔶 仕組みについて
半減期が長くなる要因(ヒトにおいて)
① 通常、 PFOS及びPFOAの胆汁排泄量は、尿中排泄量よりも多い。
② 胆汁に溶解したPFOS及びPFOAは、一部は便として排出されるが、
残りの胆汁は消化管から高い効率で再吸収される(腸肝循環)。
③ 「腸肝循環」により糞中排泄量が尿中排泄量より少なくなる。
参考)有機フッ素化合物(PFAS)ワーキンググループ(第3回)
「資料2:PFAS評価書(案)【体内動態】」
・体内からの排出が長期間かかるため半減期も数年単位となる。
<PFASの種類(長鎖・短鎖)によって半減期も変化する調査結果もみられる>
腸肝循環の影響(下図参照)
胆汁が消化のために十二指腸に分泌
⇩
PFAS(PFOS・PFOA)が胆汁に溶解
⇩
消化後、胆汁のほとんどは腸から吸収され、再び肝臓へ
(PFASは胆汁に溶解したまま)
<便から排出されるPFASの量はごく僅か>
掲載用 腎図なし-1.png)
図. 「腸肝循環」によるPFAS体外排出のイメージ
✅【その2】(R7.05.08.掲載)
PFASが関連と考えられる思わぬ健康被害
~フッ素樹脂加工製品による呼吸器疾患~
フッ素樹脂の代表であるテフロンは、PFOS・PFOAとは異なる
有機フッ素化合物(PFAS)の一種です。
フッ素樹脂加工製品は、我々の日常生活にとって大変利便性が高いものです。
しかし、使い方を間違えると以下のように人体に有害なものとなります
【症例1】
フッ素樹脂加工鍋の空焚きによるフッ素樹脂の熱分解産物が原因とみられる呼吸困難等の症状(ポリマーヒューム熱)。
(内容)
鍋を火にかけたまま寝落ちしてしまい、鍋の中の水分や食材が焦げ付き、300℃以上に。
さらに温度が上がり表面のフッ素樹脂の熱分解が起こり有害ガス発生。このガスを無意識に吸い込むことで、肺機能に異常が起こり呼吸困難等の症状に。
調理中(鍋中に食材や水分がある状態)は、200℃以上になることはない(旅館等の宿泊施設で見かける、紙製の鍋に固形燃料を使って加熱しても
紙は燃えない原理と同じ)。
【症例2】
フッ素樹脂含有防水スプレーの噴霧ガス長時間大量暴露による呼吸困難等の症状(ポリマーヒューム熱と類似の症状)。
(内容)
換気が行われていない室内で使用し、噴霧ガスを大量暴露した結果、肺機能に異常が起こり呼吸困難等の症状に。
いずれもフッ素樹脂の原因が濃厚。
人体内での詳しいメカニズムは不明。
便利なアイテムでも、このような人体への影響が起こる可能性があります。
正しい使い方で快適なライフスタイルを‼
✅【その1】(R7.04.22.掲載)
有機フッ素化合物(PFAS)とは・・
“PFOS・PFOA(有機フッ素化合物の代表化合物)”
ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(有機フッ素化合物の一部)を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされています。
PFASの中でも、PFOS※1(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA※2(ペルフルオロオクタン酸)は、熱・化学的安定性、難分解性、高蓄積性といった特性から、長年にわたり幅広い用途で使用されてました。しかし、前記の特性に加え水溶性、それに伴う長距離移動性という性質があるため、国内で規制やリスク管理に関する様々な取り組みが進められています。
※1 PFOS)主に泡消火薬剤、半導体、金属メッキ、フォトマスク(半導体、液晶ディスプレイ)、写真フィルム等
※2 PFOA)主に泡消火薬剤、繊維、医療、電子基板、自動車、食品包装紙、石材、フローリング、皮革、防護服等
に使われてきました。
参考)環境省(PFOS 及びPFOAに関する対応の手引き(第2版)等)HPより