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リポビタンDとinformed choice
2019/11/29 日薬で都道府県薬剤師会のアンチ・ドーピングホットライン担当者を集めた研修会(2020 WADA禁止表の改正点などに関する情報提供など:最近、日本語版がJADAホームページで公開された。https://www.playtruejapan.org/topics/2019/000427.html)が開催された。
鹿児島県薬では、私がアンチ・ドーピングホットライン担当者であり当然出席する気でいたが、どこでどうなったか知らないが(全く道理が通っていない)、出席の機会を逸してしまった。
その研修会に合わせて、翌日(2019/11/30)に開催される日大のアンチドーピング関連のシンポジウム(オリンピック・パラリンピックと薬剤師: https://anti-doping.nihon-u.ac.jp/wp-content/uploads/2019/11/Symposium20191130.pdf)にも参加する予定にしていたが、それも一旦あきらめた。
しかし、そこは気を取り直し、急遽ツアーパックを取り「自腹」で日大シンポに参加してきた。
日大シンポでの収穫は、
1)アスリートがサプリメントを使用するに至る心理とそれに対する薬剤師の対応(考え方、立ち位置)
2)市販の半夏、丁子、南天実と禁止物質含量について
3)オリンピック・パラリンピックにおける薬剤師の役割
さて、昨日(2019/12/5 木)は、東京で開催された「サプリメントによるアンチドーピングシンポジウム」(https://sndj-web.jp/seminar/000434.php)に、有休をとりこれまた自腹で参加してきた。
少々、商業主義の臭いが漂っていたが、
1)「スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律」(教育及び啓発の推進等の項に、「国は、ドーピング防止活動に資するよう、医師、歯科医師、薬剤師その他の医療従事者に対する情報の提供、研修の機会の確保その他の必要な施策を講ずるものとする。」と記載されている)(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=430AC1000000058)
2)「スポーツにおけるドーピング防止活動に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針」(http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/001_index/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2019/04/01/1414265_007.pdf)
3)「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン」(ガイドラインの完成度は100%とは言えない。また、これまでの経緯を引きずった不思議な点もいくつかある。など)(https://www.playtruejapan.org/jada/s-guideline.html)
4)利用可能エネルギー不足(参考:女性アスリートの三主徴 https://www.jpnsport.go.jp/jiss/Portals/0/column/woman/seichoki_handobook_5.pdf )による貧血が男性にも起こり得ることと、その対処法、栄養摂取のタイミング、ニトレート(シトルリン・アルギニン)など
5)CAS/JSAA仲裁判断事例を通してのアンチドーピング機構の考え方(厳格責任)と弁護士の考え方(責任主義)の違い等について学んできた。
また、最新のサプリメント(シトルリン・アルギニン理論に基づくもの、β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(ロイシンの代謝産物)、DHMBA)等)の実物もいくつか手に入れることができた。
両シンポジウムを通じて、サプリメントとドーピングについて考え方を整理でき、有用だった。
ところで、昨日のシンポジウムで、リポビタンDがinformed choice認証を受けたことを知った。
既に、リポビタンDのホームページでも、大々的に宣伝されている(https://brand.taisho.co.jp/lipovitan/lipod/informed-choice/)。
よほど、アスリート等からの問い合わせが多かったのだろう・・・
実際、鹿児島県体育協会が実施している国体選手を対象にした医薬品等調査においても、毎年、リポビタンDの使用事例は何件ある。
また、中学校・高等学校のスポーツ指導者を対象としたステップアップ研修会などでも、毎年、彼らからリポビタンDについての質問を受ける。
いくらinformed choiceの認証を得たからといっても、でたらめな使用はドーピングの問題だけにはとどまらない。
そのあたりをどのようにアスリート、特にジュニアアスリートがとらえるかが問題。
IOCは、これまでサプリメントに関しては否定的な立場をとってきたが、競技者のサプリメント使用の実態を踏まえ方向転換し、使用する場合は科学的根拠のあるものをとの立場を表明した。
その中でカフェインは競技能力向上に関して科学的根拠のあるサプリメントとして列挙されている。
副作用についても言及しているが・・・
https://bjsm.bmj.com/content/52/7/439
アスリートと指導者に対して、それらの情報を総合的にどのように啓発していくべきか、考えどころ。