公益社団法人 鹿児島県薬剤師会

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濫用等のおそれのある医薬品の取扱いについて(お願い)日薬から

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「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入したときの対応が不適切であった」事例が年々悪化していることを受け、日薬から適切な対応を求める以下のお願いが発出されています。

日薬が示した対応について、速やかに確認していただき、医薬品販売時における適切な対応をお願いします。

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日薬業発第 276 号

令和元年 11月 20日

 

都道府県薬剤師会 会長 殿

日 本 薬 剤 師 会 

会長 山本 信夫

 

 

濫用等のおそれのある医薬品の取扱いについて(お願い)

 

 

平素より、本会会務にご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、平成30年度医薬品販売制度実態把握調査結果において、「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入したときの対応が不適切であった」事例が年々悪化していることが明らかになりました(令和元年9月24日付け日薬業発第199号)。一方、平成30年度厚生労働科学研究「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」報告における「アルコール以外の精神作用物質を使用による薬物関連精神障害患者」の中で、10代が濫用する薬物は市販薬が約4割を占めることが報告されています。

また、濫用等のおそれのある医薬品については、販売に際して、他店舗での購入状況や購入理由の確認、販売時の数量制限などの対応が必要とされ、適切な理由がなく複数個販売することや、症状の確認をせず頻回購入を見逃すことは購入者の薬物濫用につながる危険性があり、医薬品の適正使用を担保する薬剤師としては看過できない事態と認識しています。

濫用等のおそれのある医薬品は、要指導医薬品や第一類医薬品等のリスク区分とは異なり、法令上は購入者の直接手の届く範囲での陳列が可能であることから、当該医薬品の適正な販売に当たり、薬局及び店舗に自主的な「販売に関する対策」が求められます。当該医薬品の適正な販売をより実効性のあるものにするため、日本薬剤師会では別紙に示す対策を速やかに実施することとしましたので、早急に実行いただきますよう会員各位へのご周知をお願い致します。

なお、今年度は、厚生労働科学特別研究事業として、一般用医薬品の適正使用の一層の推進に向けた依存性の実態把握と適切な販売のための研究を行うことを予定しております。本会は関係団体と協力し、濫用等のおそれのある医薬品の販売に係る適正な対応の徹底を進めて参りますので、ご理解とご協力の程よろしくお願い致します。

別紙:濫用等のおそれのある医薬品に係る販売対応

参考:根拠法令、濫用等おそれのある医薬品、濫用等のおそれのあるOTC医薬品の検索方法

濫用等のおそれのある医薬品に係る販売対応

 

番号 具体的な販売対応 目的 根拠法令
1
  • 鎮咳去痰薬、かぜ薬(内用)、解熱鎮痛薬、鼻炎用内服薬、催眠鎮静薬などの濫用等のおそれのある医薬品は複数個の販売をしない。
  • 自由に手に取れる個所に複数個の陳列を避けるなど、複数個の購入が起きない工夫をする。
  • 例えば、カウンターの背後に陳列など、来局者の直接手の届かない位置に陳列する。または、陳列は空箱で対応、商品カードで対応する、などの工夫を行う。
複数個購入の防止 薬機法施行規則 第15条の2・1・ハ 
2
  • □濫用等のおそれのある医薬品を販売する場合、薬局及び店舗に備えている要指導医薬品・第一類医薬品等の販売記録に記入するとともに(または別の記録でも差し支えない)、薬局及び店舗内での情報連携を徹底し、販売管理をする。
  • 濫用等のおそれのある医薬品を販売する際には、必ず上記の販売記録を確認した上で適正な販売対応をする。
頻回購入の防止 薬機法施行規則 第15条の2・1・ハ 
3
  • 濫用等のおそれのある医薬品の販売を行う際には、他の薬局や店舗での購入状況、保有状況を確認し、その内容を上記の販売記録に記載する。
  • 他の薬局や店舗での購入状況に応じて、適切な指導等を行う。
複数薬局及び店舗での購入防止 薬機法施行規則 第15条の2・1・ロ 
4
  • 濫用の事例が多いとされる若年者には、氏名・年齢を確認し、濫用が助長されないよう注意喚起し、必要に応じて販売しない。
  • 学生証等の身分証明書の提出を求めるなど、提出がなければ販売しない。
  • その旨を薬局及び店舗内に掲示する。
若年者への不適切な販売の防止 薬機法施行規則 第15条の2・1・イ

※薬機法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

※販売対応については、薬局等で作成している「手順書」や「指針」に反映する

<根拠法令>

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則

(濫用等のおそれのある医薬品の販売等)

第15条の2 薬局開設者は、薬局製造販売医薬品又は一般用医薬品のうち、濫用等のおそれがあるものとして厚生労働大臣が指定するもの(以下「濫用等のおそれのある医薬品」という。)を販売し、又は授与するときは、次に掲げる方法により行わなければならない。

一 当該薬局において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に、次に掲げる事項を確認させること。

イ 当該医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者が若年者である場合にあつては、当該者の氏名及び年齢

ロ 当該医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者及び当該医薬品を使用しようとする者の他の薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者からの当該医薬品及び当該医薬品以外の濫用等のおそれのある医薬品の購入又は譲受けの状況

ハ 当該医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者が、適正な使用のために必要と認められる数量を超えて当該医薬品を購入し、又は譲り受けようとする場合は、その理由

  ニ その他当該医薬品の適正な使用を目的とする購入又は譲受けであることを確認するために必要な事項

二 当該薬局において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に、前号の規定により確認した事項を勘案し、適正な使用のために必要と認められる数量に限り、販売し、又は授与させること。

(平26厚労令8・全改)

 

<濫用等のおそれのある医薬品>

以下に掲げるもの、その水和物及びそれらの塩類を有効成分として含有する製剤

1.エフェドリン

2.コデイン(鎮咳去痰薬に限る。)

3.ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る。)

4.ブロモバレリル尿素

5.プソイドエフェドリン

6.メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内用液剤に限る。)

※平成26年6月4日付け薬食発0604第2号「薬事法施行規則第15条の2の規定に基づき濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品(告示)の施行について」厚生労働省医薬食品局長、通知より

<濫用等のおそれのあるOTC医薬品の検索方法>

濫用等のおそれのあるOTC医薬品の検索方法もお知らせいたしますので、ご活用ください。今後、日本薬剤師会ホームページにて、関連資料を掲載する予定としております。