公益社団法人 鹿児島県薬剤師会

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健康食品と医薬品の併用における注目すべき有害事象

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特に注意を要する医薬品(抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤、血液凝固阻止剤、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、精神神経用剤、糖尿病用剤、膵臓ホルモン剤、抗HIV剤など)と健康食品等との併用による有害事象について、国立健康・栄養研究所研究員がまとめ論文を出している。

「健康食品」の安全性・有効性情報の収載データ分析から示される健康食品と医薬品の併用における注目すべき有害事象 (全文閲覧可能/PDFダウンロード可能)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29695676?dopt=Abstract

論文の内容をかいつまんで、同研究所のホームページで公開されている。

医薬品と健康食品の併用による注目すべき有害事象 (Ver.190711)

https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail3997.html

記事に関連して、サプリメントの使用に関する一般消費者向けリーフレット(https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail1546.htmlhttps://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail3744.html)なども提供(リンク)されている。

同研究所の健康食品の安全性・有効性情報(https://hfnet.nibiohn.go.jp/)は、サプリメント等の相談対応時に活用できる。

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有害事象のグレードについて

Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)(有害事象共通用語規準)によって判断する。

最新版は、version 5.0(第5版)
日本語版は、日本主要研究グループ(Japanese Clinical Oncology Group、JCOG)のサイト(http://www.jcog.jp/doctor/tool/ctcaev5.html)に掲載されている。
PDF版とEXCEL版等が掲載されている。

米国National Cancer Institute(NCI)が主導して世界共通で使用されることを意図して作成された有害事象に関しての評価規準。
器官別大分類(system organ class: SOC)によって26のカテゴリーに分類し、有害事象(adverse event: AE)と重症度を示すグレード(Grade)が示されている。

AE: 

治療や処置に際して観察される、あらゆる好ましくない意図しない徴候(臨床検査値の異常も含む)、症状、疾患であり、治療や処置との因果関係は問わない。すなわち因果関係があると判断されるものと、因果関係ありと判断されないもの両者を含む(副作用、合併症、毒性、手術合併症等をすべて含む)。

AE は特定の医学的事象を一意的に表すように定義された用語であり、医学的な記録や報告および科学的な分析に使用される。

Grade: 

AE の重症度を意味する。CTCAE では Grade 1-5 を 以下の原則に従って定義しており、各 AE の重症度の説明を個別に記載している

Grade 1: 軽症; 症状がない, または軽度の症状がある; 臨床所見または検査所見のみ; 治療を要さない
Grade 2 :中等症; 最小限/局所的/非侵襲的治療を要する; 年齢相応の身の回り以外の日常生活動作の制限*
Grade 3: 重症または医学的に重大であるが, ただちに生命を脅かすものではない; 入院または入院期間の延長を要する; 身の回りの日常生活動作の制限**
Grade 4 生命を脅かす; 緊急処置を要する
Grade 5 AE による死亡

一部の有害事象では、Grade 4や5などが設定されていないことがある。

Grade 説明文中のセミコロン(;)は「または」を意味する。

*身の回り以外の日常生活動作(instrumental ADL)とは、食事の準備、日用品や衣服の買い物、電話の使用、金
銭の管理などをさす。
**身の回りの日常生活動作(self care ADL)とは、入浴、着衣・脱衣、食事の摂取、トイレの使用、薬の内服が可
能で、寝たきりではない状態をさす。
   

Grade 2以下: 一般的に軽度の毒性と判断される。該当する有害事象によって治療中断する必要はない。
Grade 3以上: 高度の毒性と判断される。有害事象が回復するまでの治療中断と、以後の化学療法において投与量の削減が求められる。原則として、入院の可否はGrade 3以上であるかどうかで判定することが多い。

ただし、実臨床での治療方針の決定は、Gradeのみで治療の継続や中断を判断せず、患者の状態、原疾患や併存疾患、治療の目標設定、治療効果、患者の苦痛や希望などの様々な事項を総括的に臨床的判断して慎重に行う。