公益社団法人 鹿児島県薬剤師会

新着情報

<ちょっと一息> J-SPEED

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2013年フィリピンを襲った台風ハイアン。

甚大な被害をもたらした。

フィリピンからの日本政府への要請によって、国際緊急援助隊医療チームが1次隊から3次隊まで派遣された。

(参考)フィリピン共和国における台風被害に対する国際緊急援助 (まとめ)https://www.jica.go.jp/information/jdrt/2013/20131227.html どこかに私が潜んでいます。

私は、2次隊で派遣され、2週間、タクロバン、バセイ、カンパリ等で、サイト診療、現地病院支援、モバイル診療棟に携わった。

その際、現地で活動する医療チームの情報を共有するシステムとしてフィリピン政府とWHOが開発したSPEEDが使用された。

その後、産業医科大学の久保先生(フィリピンへの国際緊急援助隊医療チーム派遣に参加した医師)が中心となり発展させJ-SPEEDを完成させた。

その有用性は、熊本地震、北海道胆振東部地震、西日本豪雨災害において立証され、現在、国際標準となっている。

スマートフォーン用(Android用、iOs用)のアプリ(無償)も公開されている。

個人練習モードを利用して、日頃から操作に慣れておくと、災害時の医療支援に赴いた際に役立つ。

災害発災後の経時的疾病構造変化、医薬品の使用状況などのデータを利用して、避難所救護所での医薬品管理などへの応用も可能。

災害時の公衆衛生を含めて、久保先生をお招きして研修会(災害支援薬剤師アドバンストコース)を開くのもよいかもしれない。

J-SPEEDとは(J-SPEEDホームページhttps://www.j-speed.org/から引用)
災害時、被災地においてはあらゆるニーズが増大します。一方でそのニーズに本来対応する地元関係機関も被災することにより平時の情報収集経路が途絶し、ニーズ情報は潜在化してしまいます。この際、被災地には多数の支援チームが駆けつけます。この外来チームは自己完結を旨とし報告の能力/余力を保有しているのですが、従来、標準化された報告手法がなかったために、その力は活かされていませんでした。この状況に対処するために、フィリピン国保健省とWHOが共同開発したSPEED(Surveillance in Post Extreme Emergencies and Disasters )という報告手法をモデルに、我が国の災害医療分野で開発されたのが日本版SPEED(J-SPEED)です。
J-SPEEDは東日本大震災を契機に設置された「災害時の診療録のあり方に関する合同委員会」(日本医師会・日本災害医学会・日本病院会・日本診療情報管理学会・日本救急医学会・国際協力機構(JICA)の6団体で構成 )が提唱する標準手法で、被災地に参集する災害医療チームの活動日報を作成するための技術です。
J-SPEEDは熊本地震(2016年)において初めて大規模稼働し、災害対策本部による診療概況の把握に貢献しました。また、フィリピンに加えて日本でも役立ったという実績を受けて、世界保健機関WHOはJ-SPEEDをベースにMDS(Minimum Data Set)という手法を開発し、2017年2月に国際標準として採用しました。
フィリピン生まれ、日本育ちの国際標準が今後、世界中の災害現場で被災傷病者 の救護に役立てられることが期待されています。