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被災地からおくるメッセージ 災害時にトップがなすべきこと
昨日、街路樹の所々から蝉の鳴き声が聞こえてきた。
もうそろそろ梅雨明けかと思いきや、大雨でいたるところが大変な状況になっていた。
どうにも、近頃災害が目に付く。
この異常な大雨は、温暖化の影響かもしれない。
各地で起こる地震は、地球が活動期に入ったからかもしれない。
兎に角、災害には備えておく必要がある。
岩手、茨城、長野、熊本の13市町の長が連名で、「被災地からおくるメッセージ : 災害時にトップがなすべきこと」を発表している。
http://www.city.toyooka.lg.jp/bosai/bosai/bosaitaisaku/1000630.html
それぞれの地での経験を踏まえた上での提言であり、自治体のみならず薬局等でも参考になると思う。
少し言葉を変えて読み解くと、部分的には日常の業務の在り方にも通じるものもある。
詳細は、上記リンクから閲覧してください。
「被災地からおくるメッセージ 災害時にトップがなすべきこと」
災害時にトップがなすべきこと協働策定会議
岩手県陸前高田市長、岩手県釜石市長、宮城県石巻市長、宮城県南三陸町長
茨城県稲敷市長、千葉県香取市長、新潟県三条市長、新潟県見附市長
長野県白馬村長、兵庫県豊岡市長、熊本県熊本市長、熊本県嘉島町長
熊本県甲佐町長、熊本県益城町長、熊本県西原村長
Ⅰ 平時の備え
1 迫りくる自然災害の危機に対処し、被災後は人々の暮らしの復旧・復興にあたる責任は、法的にも実態的にも、第一義的に市区町村長に負わされている。非難も、市区町村長に集中する。トップは、その覚悟を持ち、自らを磨かなければならない。
2 自然の脅威が目前に迫ったときには、勝負の大半がついている。大規模災害発生時の意思決定の困難さは、想像を絶する。平時の訓練と備えがなければ、危機への対処はほとんど失敗する。
3 市区町村長の責任は重いが、危機への対処能力は限られている。他方で、市区町村長の意思決定を体系的・専門的に支援する仕組みは、整っていない。せめて自衛隊、国土交通省テックフォース、気象台等、他の機関がどのような支援能力を持っているか、事前に調べておくこと。連携の訓練等を通じて、遠慮なく「助けてほしい」と言える関係を築いておくこと。
4 日頃から住民と対話し、危機に際して行なう意思決定について、あらかじめ伝え、理解を得ておくこと。このプロセスがあると、いざというときの躊躇が和らぐ。例えば・・・
・避難勧告、避難指示(緊急)は、真夜中であっても、たとえ空振りになっても、人命第一の観点から躊躇なく行うということ。
・堤防の決壊という最悪の事態を防ぐため、排水機を停止することがあるということ。停止すると街は水浸しになるが、人命最優先の観点から、躊躇なく行うということ。
・公務員といえども人であり、家族がいる。多数の職員が犠牲になると、復旧・復興が大幅に遅れる。職員も一時撤退させることがあるということ。(住民への強い責任感から、職員は危険が迫ってもなかなか逃げようとしない。職員にも自らの命を守ることを最優先するよう徹底しておくこと。)
・大地震の初動時は、消防は全組織力をあげて消火活動を行うということ。(倒壊家屋からの救出より消火を優先するということ。)
5 行政にも限界があることを日頃から率直に住民に伝え、自らの命は自らの判断で自ら守る覚悟を求めておくこと。
6 災害でトップが命を失うこともありうる。トップ不在は、機能不全に陥る。必ず代行順位を決めておくこと。
7 日頃、積極的な被災地支援を行うこと。派遣職員の被災地での経験は、災害対応のノウハウにつながる。
Ⅱ 直面する危機への対応
1 判断の遅れは命取りになる。特に、初動の遅れは決定的である。何よりもまず、トップとして判断を早くすること。
2 「命を守る」ということを最優先し、避難勧告等を躊躇してはならない。
3 人は逃げないものであることを知っておくこと。人間には、自分に迫りくる危険を過小に評価して心の平穏を保とうとする、「正常化の偏見」と呼ばれる強い心の働きがある。災害の実態においても、心理学の実験においても、人は逃げ遅れている。
避難勧告のタイミングはもちろん重要だが、危険情報を随時流し、緊迫感をもった言葉で語る等、逃げない傾向を持つ人を逃げる気にさせる技を身につけることはもっと重要である。
4 住民やマスコミからの電話が殺到する。コールセンター等を設け対応すること。
5 とにかく記録を残すこと。
Ⅲ 救援・復旧・復興への対応
1 トップはマスコミ等を通じてできる限り住民の前に姿を見せ、「市役所(区役所・町村役場)も全力をあげている」ことを伝え、被災者を励ますこと。住民は、トップを見ている。発する言葉や立ち居振る舞いについて、十分意識すること。
2 ボランティアセンターをすぐに立ち上げること。ボランティアは単なる労働力ではない。ボランティアが入ってくることで、被災者も勇気づけられ、被災地が明るくなる。ボランティアセンターと行政をつなぐ職員を配置すること。(ただし、地震の場合で余震が危惧される時は、二次災害の防止に配慮して開設すること。)
3 職員には、職員しかできないことを優先させること。
4 住民の苦しみや悲しみを理解し、トップはよく理解していることを伝えること。苦しみと悲しみの共有は被災者の心を慰めるとともに、連帯感を強め、復旧・復興のばねになる
5 記者会見を毎日定時に行い、情報を出し続けること。「逃げるな、隠すな、嘘つくな」が危機管理の鉄則。マスコミは時として厄介であるし、仕事の邪魔になることもあるが、その向こうに市民や心配している人々がいる。明るいニュースは、住民を勇気づける。
6 大量のがれき、ごみが出てくる。広い仮置き場をすぐに手配すること。畳、家電製品、タイヤ等、市民に極力分別を求めること。事後の処理が早く済む。
7 庁舎内に「ワンストップ窓口」を設け、被災者の負担を軽減すること。
8 住民を救うために必要なことは、迷わず、果敢に実行すべきである。とりわけ災害発生直後は、大混乱の中で時間との勝負である。職員に対して「お金のことは心配するな。市長(区町村長)が何とかする」、「やるべきことはすべてやれ。責任は自分がとる」と見えを切ることも必要。
9 忙しくても視察を嫌がらずに受け入れること。現場を見た人たちは、必ず味方になってくれる。
10 応援・救援に来てくれた人々へ感謝の言葉を伝え続けること。職員も被災者である。職員とその家族への感謝も伝えること。
11 職員を意識的に休ませること。
12 災害の態様は千差万別であり、実態に合わない制度や運用に山ほどぶつかる。他の被災地トップと連携し、視察に来る政府高官や政治家に訴え、マスコミを通じて世論に訴えて、強い意志で制度・運用の変更や新制度の創設を促すこと。