公益社団法人 鹿児島県薬剤師会

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規制改革推進に関する第3次答申 ~ 来るべき新時代へ ~

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<備忘録>

規制改革推進に関する第3次答申
~ 来るべき新時代へ ~

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/toshin/180604/toshin.pdf

3. 医療・介護分野…………………………………………………………….25
(1) 今期の重要課題……………………………………………………………25

(2) オンライン医療の普及促進…………………………………………………..26

① オンライン診療の取扱いの明確化…………………………………………….26
② オンライン診療を適用できる地理的条件の見直し………………………………..27

【措置済み】
平成 29 年医政局長通知においては、オンライン診療を適用できる場所として「離島、へき地」を挙げつつ、それはあくまで例示であることが示されているものの、オンライン診療は基本的には「離島、へき地」等で適用されるべきものであるという認識が医療関係者の中に根強く残っており、それがオンライン診療の普及の妨げになっているとの指摘がある。したがって、オンライン診療は「離島、へき地」に限らず、患者の状況に応じて医師の判断により適用できることをガイドラインにおいて示す。

③ オンライン診療を行う医師の所在の解釈の明確化………………………………..27

【措置済み】
医師がオンライン診療を行う際の所在の考え方については、これまで発出された通知や事務連絡において明確になっておらず、医師の自宅からのオンライン診療の提供の可否が明確ではないため、オンライン診療の積極的な活用の妨げになっているとの指摘がある。
したがって、医師がオンライン診療を行う際の提供場所について、必ずしも医療機関内で提供する必要がないことをガイドラインに明記する。

④ オンライン診療を受診する患者の受診場所の見直し………………………………27

【措置済み】
医療法(昭和 23 年法律第 105 号)において、医療は、病院、診療所等の医療提供施設又は患者の居宅等で提供されなければならないとされている。しかし、医療法における「居宅等」の範囲が明確になっておらず、患者の勤務する職場や公民館等でオンライン診療を受けることの可否が明確ではないため、オンライン診療の積極的な活用の妨げになっているとの指摘がある。
したがって、医療法に定める「居宅等」の範囲の解釈を見直し、患者のプライバシーが維持できる環境等の条件が整う場所ならばオンライン診療の受診を可能とすることをガイドラインに明記する。

⑤ オンライン診療による初診の取扱いの明確化……………………………………28

【措置済み】
禁煙外来については、平成 29 年医政局長通知において、「結果として遠隔診療のみで診療が実施された場合には、直接の対面診療が行われなくとも直ちに医師法第 20条等に抵触するものではない」と記載されたものの、一般化されていないため、どのようなケースならばオンライン診療による初診が適法であるのか、いまだに明確ではないとの指摘がある。
したがって、初診は対面診療が原則であることを示しつつ、オンライン診療による初診が適法となるケースの例をガイドラインに明記する。

⑥ オンライン診療のルールの適宜更新…………………………………………..28
⑦ オンライン診療に適した症例及び対面診療との組合せ方の明確化……………………28

【措置済み】
平成 29 年医政局長通知においてオンライン診療の対象となる患者が示されたものの、その後の見直しが行われていないため、オンライン診療に適した症例や、対面診療と組み合わせたオンライン診療の活かし方について判断できない医師が多く、オンライン診療の普及の妨げになっているとの指摘がある。
したがって、オンライン診療に適した症例及び対面診療との組合せ方をガイドラインに明記する。

患者が服薬指導を受ける場所の見直し…………………………………………28

【平成 30 年度検討・結論、平成 31 年度上期措置】
患者が職場にいながら診療を受け処方箋医薬品を受け取ることができれば、生活習慣病の重症化予防に効果的であるという指摘がある。しかし、医療法上は患者が職場でオンライン診療を受診することは周辺環境次第では許容されるものの、薬剤師による服薬指導を受けることは、薬剤師法施行規則(昭和 36 年厚生省令第5号)により認められていない。
したがって、患者がオンライン診療を受診した場所(職場等)で、薬剤師が服薬指導を実施することを可能とするよう、薬剤師法施行規則の見直しを検討し、措置する。

⑨ オンライン診療に係るデータ収集の推進……………………………………….29
⑩ 次期以降の診療報酬改定におけるオンライン診療に係る診療報酬上の評価拡充に向けた検討….29

【平成 31 年度検討・結論】
オンライン診療に関する診療報酬については平成 30 年度の診療報酬改定により新設された。しかし、現在の診療報酬では、初診から6か月は毎月同一医師の対面診療を受けること等が要件になっている。オンライン診療の利点を国民がより本格的に享受するためには、移動が困難な患者の目線で、オンライン診療の診療報酬上の評価を更に拡充し、また、「見守り」、「モニタリング」などのオンライン診療の特性に合わせた包括評価や、医療従事者の働き方改革による負担軽減を進めていく必要があるとの指摘がある。
したがって、ガイドラインの内容を踏まえ、新設されたオンライン診療料等の普及状況を調査・検証しつつ、患者目線に立ったオンライン診療の更なる拡充に向けて、次期以降の診療報酬改定におけるオンライン診療料等の見直しについて、検討を進める。

オンラインでの服薬指導の一定条件下での実現………………………………….29

【平成 30 年度検討・結論、平成 31 年度上期措置】
現在、移動が困難な患者に対しては、薬剤師の訪問による服薬指導や薬剤管理等を実施する「訪問薬剤管理指導制度」が設けられており、その推進は重要であるが、当該制度の推進だけで、患者のニーズに応えることは難しい。実際、実働する訪問薬剤師の不足等により訪問服薬指導を受けられず、服薬指導を受けるためだけに薬局へ行かねばならない地域や患者は存在する。
したがって、オンライン診療や訪問診療の対象患者のように、それらの必要に迫られた地域や患者に対して、地域包括ケアシステムの中でかかりつけ薬剤師・薬局が医療・介護の一翼を担い、国民が医薬品の品質、有効性及び安全性についての利益をより享受できる医薬分業及びかかりつけ薬剤師・薬局の取組等を推進するため、薬剤師による対面服薬指導とオンライン服薬指導を柔軟に組み合わせて行うことについて検討し、結論を得る。

電子処方箋実務の完全電子化………………………………………………..30

【平成 30 年度上期検討・結論、平成 30 年度措置】
現在、電子データも処方箋の原本となり得るが、厚生労働省が平成 28 年に策定した「電子処方せんの運用ガイドライン」(平成 28 年3月 31 日)では、電子処方箋引換証及び処方箋確認番号を、患者が薬局に持参するモデルが定められている。しかし、電子処方箋の交付から受取までを完全に電子化し、紙のやり取りをなくさなければ、電子処方箋導入のメリットが失われ、「一気通貫の在宅医療」を実現することはできない。
したがって、オンラインを活用した「一気通貫の在宅医療」の実現に向けて、当該ガイドラインを改めて、電子処方箋のスキームを完全に電子化するための具体的な工程表を作成し、公表する。

(3) 医療系ベンチャー支援の取組…………………………………………………30

① 革新的医薬品の適正なイノベーション評価……………………………………..30
② 一般管理販売費の適正な算定………………………………………………..31
③ 研究開発費の適正な算定……………………………………………………31

(4) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構による審査の効率化 ………………………….31

① 電子化の推進…………………………………………………………….31
② 審査過程の透明化…………………………………………………………32
③ 再審査申請資料の効率化……………………………………………………32
④ 海外の規制との整合性確保………………………………………………….32
⑤ 英文資料の受入れ…………………………………………………………32
⑥ 医薬品添付文書の電子化……………………………………………………33
⑦ GMP査察結果の相互受入れ………………………………………………..33
⑧ 海外機関のGCP査察結果の活用…………………………………………….33
⑨ カルタヘナ法の運用改善……………………………………………………33

(5) 食薬区分(昭和 46 年通知)の運用改善 …………………………………………34

我が国の農業を成長産業に転換させるための方策の一つとして、医学や工学との連携により健康機能性の観点から差別化を図り、農林水産物を高付加価値化する必要性が指
摘されている。
ところが、生鮮食品に元から含まれる専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)を機能性関与成分とした場合には、当該生鮮食品を機能性表示食品として届け出ることが困難であり、高付加価値化の足かせとなっているという指摘がある。
そのため、医療・介護ワーキング・グループにおいては、生鮮食品の機能性関与成分を適切に表示することを可能とする食薬区分の運用の在り方を検討し、以下の規制改革項目を取りまとめた。

① 食薬区分に係る考え方の明確化………………………………………………34

【平成 30 年度検討・結論・措置】
「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和 46 年6月1日厚生省薬務局長通知)の「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に収載されている成分本質については、消費者庁の「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」(平成 27 年3月 30 日消費者庁食品表示企画課長通知)において、機能性表示食品制度における「機能性関与成分」が、前記のリストに含まれるものでないことを確認することとされている。そのため、生鮮食品に元から含まれる専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)を機能性関与成分とした場合、当該生鮮食品やそれを調理・加工した食品を機能性表示食品として届け出ることが困難となっている。
したがって、厚生労働省は、専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)を元から含む生鮮食品や、その成分本質を利用した加工品(伝統的発酵食品・サプリメント形状食品を含む。)の医薬品該当性に関してQ&A等にまとめて周知する。消費者庁は、その内容を受けて、機能性表示食品の届出の適否を判断する過程を明確化し、Q&A等に反映して周知する。

② 食薬区分に関する相談・申請についての体制整備………………………………..34

【平成 30 年度検討・結論・平成 31 年度上期措置】
人が経口的に服用する物が医薬品に該当するか否か明確でない新規成分本質(原材料)については、事業者は、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の記載に従い、その成分本質(原材料)の薬理作用や生理作用、毒性、食習慣等に関する資料を添えて、都道府県の薬務担当課を通じて厚生労働省に資料を提出し、判断を求めることができるとされている。食薬区分に関する照会は多数あるため、厚生労働省は全国からの照会に都道府県等を窓口として対応しているところであるが、前記の新規成分本質(原材料)に関する食薬区分上の判断を求める申請に関しては、事業者が厚生労働省に直接相談することを希望する声がある。
したがって、事業者が新規成分本質に関して食薬区分上の判断を求めるための資料を都道府県の薬務担当課が確認したことを条件に、事業者と厚生労働省の双方の効率化に資するものについては、当該事業者が厚生労働省に直接照会することを可能とする体制を整備する。また、その旨をQ&A等に反映して周知する。

(6) 機能性表示食品制度の運用改善 ……………………………………………….35

国民の健康寿命を延伸させるためには、まずは国民一人一人が、自らが口にする食品の成分を正確に理解し、健康管理に努める必要があることは言うまでもない。機能性表示食品制度は、こうした健康管理に努める消費者に対して、食品の有する機能に係る正しい情報を分かりやすく提供することにより、消費者の選択肢を増やすために導入されたところであるが、流通過程での表示管理の複雑さや小規模な生産業者が多数を占めるなどの理由から、機能性表示食品において生鮮食品の数は限られたものとなっている。
そのため、医療・介護ワーキング・グループにおいては、機能性表示食品制度の運用改善を検討し、以下の規制改革項目を取りまとめた。

① 生鮮食品に係る食品表示の在り方の見直し……………………………………..35

【措置済み】
生鮮食品は出荷から販売に至るまでに箱詰め、小分け、パック詰めなどのプロセスがあり、容器包装の形態が変わるため、表示管理が複雑となりむしろ明確ではなくなっている。
したがって、簡易的な表示を可能とする仕組みなど、生鮮食品に適した食品表示の在り方を業界団体等と協議し、結論を得た上でQ&A等に反映して周知する。また、ビタミンやミネラル等、生鮮食品が有する一般的な特徴について、どのような表示が可能であるのかを明確化し、Q&A等に反映して周知する。

② 研究レビューの活用推進……………………………………………………35

【平成 30 年検討・結論・措置】
科学的根拠の明示、適切な生産・出荷管理、検査等において、生鮮食品の生産者・販売者には必ずしも十分なノウハウがなく、機能性表示食品の届出において負担となっている。
したがって、機能性関与成分の機能性に関する科学的根拠については、農業・食品産業技術総合研究機構が提供する研究レビューを用いることで簡易に機能性表示食品の届出ができるよう、当該研究レビューの改善・拡充に向けた計画表を作成し公表する。また、スムーズに相談が行われるよう生鮮食品ごとに、その知見を有する部局を明確化する。

(7) 社会保険診療報酬支払基金に関する見直し ………………………………………36

① 新コンピュータシステムの開発プロセスにおける内閣情報通信政策監との連携…………36
② 新コンピュータシステムに係る投資対効果の開示………………………………..37
③ 支部の最大限の集約化・統合化の実現…………………………………………37
④ 審査の一元化に向けた体制の整備…………………………………………….38

【a:平成 30 年度上期結論・措置、b,c:平成 30 年度検討・結論、d:平成 30 年度検討開始、平成 31 年度中間報告、平成 32 年度までに結論】
審査の一元化に向けた体制整備については、平成 29 年中に具体的な進め方の結論を得ることが規制改革実施計画(平成 29 年6月閣議決定)として閣議決定されたが、具体的な工程が明確になっておらず、審査内容の整合性・客観性を担保する仕組みについても結論が出ていない。
また、「支払基金業務効率化・高度化計画」において、以下の事項については今後の対応とされ、結論が先送りになっている。

・審査支払機関の法的な位置づけやガバナンス
・審査委員会の三者構成の役割と必要性
・各都道府県に設置されている審査委員会の役割と必要性
・保険者の審査支払機能の代行機関としての支払基金と国保中央会等の最も効率的な在り方

したがって、審査の一元化の前提となる以下の具体的な進め方について、引き続き検討を進め、結論を得る。

a 各支部で独自に設定しているコンピュータチェックルールについて、具体的な差異の内容を把握するとともに、作業完了までの具体的な工程表を示す。

b 「データに基づき、支払基金の本部において専門家が議論を行う体制を整備し、エビデンスに基づいて審査内容の整合性・客観性を担保する」仕組みについて具体的に検討し、結論を得る。

c 「計画工程表」の中で結論が先送りとなっている以下の事項について、法改正を含めて検討し、結論を得る。

・審査支払機関の法的な位置づけやガバナンス
・審査委員会の三者構成の役割と必要性

d 「計画工程表」の中で結論が先送りとなっている以下の事項について、法改正を含めて検討し、結論を得る。

・保険者の審査支払機能の代行機関としての支払基金と国保中央会等の最も効率的な在り方
各都道府県に設置されている審査委員会の役割と必要性

⑤ 手数料体系の見直し……………………………………………………….38

(8) 患者申出療養制度の普及に向けた対応 ………………………………………….39

患者申出療養制度は国内未承認の医薬品等を迅速に保険外併用療養として使用したいという患者の思いに応えるために、前身の規制改革会議の議論により、平成 27 年に健康保険法(大正 11 年法律第 70 号)が一部改正され、新たな保険外併用療養制度として創設された制度である。
ところが、平成 30 年2月末までに、最終的に既存技術以外の新たな治療法を希望し承認された技術は4件にとどまっており、保険適用に向けて評価を行う先進医療と同程度の臨床研究計画書をはじめ、申出に要する資料作成の負担が大きいなどの医療機関側の負担の問題が、その理由の一つとして考えられている。
そのため、患者申出療養制度の更なる活用を促すための方策について検討し、以下の規制改革項目を取りまとめた。

① 制度の趣旨に沿った運用改善策の検討…………………………………………39

【平成 30 年度検討、結論を得次第措置】
患者申出療養は、困難な病気と闘う患者が、従来よりも迅速にその治療を受けられるようにする患者起点の新たな仕組みとして創設された。しかし、患者からの相談に対応する中で患者が新たな治療を希望した場合にあっても、現行の運用では先進医療と同程度の実施計画の作成が求められ、医療機関の実施体制の不備等により「実施困難」と判断された事例もあり、患者の気持ちに寄り添うという制度趣旨から乖離した運用が見られる
したがって、患者からの申出を起点とするという制度趣旨に鑑み、患者が新たな治療を希望した場合には、安全性・有効性等が確認される限り原則として制度を迅速に利用できるよう、具体的な運用改善策を検討し、所要の措置を講ずる。

② 制度の周知及び医療機関に向けた支援…………………………………………39

【平成 30 年度措置】
患者申出療養制度が利用可能になってから平成 30 年2月末までの約2年間、相談件数は 91 件、うち既存の先進医療や治験等により対応された件数が 11 件等であり、最終的に既存技術以外の新たな治療法を希望し承認された技術は4件にとどまっており、制度の周知が十分でないとの指摘がある。
また、先進医療と同程度の実施計画の作成が求められることもあり、保険収載を主な目的とする従来の評価療養との差別化が図られていないとの指摘がある。
したがって、困難な病気と闘う患者がこれを克服しようとする場合に、選択肢として患者申出療養が適切に認知されるよう、周知方法を検討し、所要の措置を講ずる。
また、従来の評価療養との違いを明確にする観点から、患者が制度を容易に利用できるよう、以下の内容を含めた医療機関に対する具体的な負担軽減策について検討し、所要の措置を講ずる。

・ 医療機関に向けたQ&Aを策定し、公表する。
・ 臨床研究計画書等の、患者申出療養の申請に必要な書面の作成を簡素化し、医療機関の負担軽減を図る。
・ そのため、医療機関の参考となるよう、既に実施された患者申出療養及び既存の先進医療の臨床研究計画書を可能な範囲で提供する等の対応を行う。

 

(9) 重点的にフォローアップに取り組んだ事項 ………………………………………40

① 介護保険内・外サービスの柔軟な組合せの実現………………………………….40
② 社会保険診療報酬支払基金に関する見直し……………………………………..40
新たな保険外併用の仕組みの創設(患者申出療養制度)…………………………..40