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アリの集団において観察されたことが果たしてヒトの集団に外挿できるか?
<ちょっと一息>
今朝、とあるSNSで、アリの集団で観察された現象をヒトの集団に外挿して論を展開している記事を見つけた。
多様な者が集団にいることは大切な事で、彼らをどのように活かすことができるかが、その集団の持つ懐の深さであることは間違いない。
が・・・アリの集団での現象をヒトの集団に当てはめるには無理がある。
集団で暮らす昆虫類の遺伝子に刻まれている潜在能力が必要に応じて引き出され、集団の作業効率や存続性を保つ一つの仕組みになっていることは納得できる。
その肝は、遺伝子に刻まれた潜在能力が、必要に応じて、いつでも発揮できること。
殊、ヒトに置き換えた場合、ヒト社会は遺伝子に刻まれた潜在能力だけでは片付かない。
後天的に学習し獲得した能力がむしろ大きな力を発揮する。
従って、ヒトの場合、集団の作業効率を保持するためには、個々に対するそれ相応の訓練等が必要なる。
能力は、一朝一夕には身に付かないものであるし、たとえ一旦身に付けたとしても、日々その能力を活用していなければ、時間とともに減退する。
つまり、継続的なやる気をどのように個々の構成員に持たせ、それを引っ張り上げていくか、能力の向上維持を可能にするかが、ヒトの集団においては肝心となる。
その点が、遺伝子にプログラムされた生き方のみのアリの集団と後天的に得た能力を駆使する必要があるヒトの集団との大きな違い。
あれこれ反論を考えた末、2:6:2に関する記事は参考程度にとどめることにした。
アリからヒトに、そうそう容易に外挿できるものではない。
常に爪を研いでいれば別の話だが・・・往々にして、それはかなり難しい。
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<関連>
Lazy workers are necessary for long-term sustainability in insect societies
https://www.nature.com/articles/srep20846
Who needs `lazy’ workers? Inactive workers act as a `reserve’ labor force replacing active workers, but inactive workers are not replaced when they are removed
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0184074