公益社団法人 鹿児島県薬剤師会

新着情報

第424回 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) 資料

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来年の診療報酬改定に向け、中医協で議論されている。

あちらこちらから、かなり厳しい状況が漏れ伝わってくる。

毎回のことだが、重箱の隅をつついていても、年々増大する保険医療費を抑えることは難しい。

それぞれの立場の委員が、それぞれの立場に固執し守ろうとすると視野狭窄がおこる。

目くそ、鼻くそ状態からの脱却。

大所高所から俯瞰し、将来的な皆保険制度を考えなくては、焼け石に水。

 

第424回 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) 資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html

調剤報酬(その1)について

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000550469.pdf

 

経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる骨太の方針)(調剤報酬部分の抜粋)

平成28年
平成28 年度診療報酬改定の影響について、調査・検証を⾏う。特に、かかりつけ薬剤師による服薬状況の一元的・継続的把握、服薬指導等への評価の新設を含む調剤報酬については、患者本位の医薬分業の実現の観点から、改定内容の「⾒える化」や効果の検証等を実施する。

平成29年
調剤報酬については、薬剤の調製などの対物業務に係る評価の適正化を⾏うとともに、在宅訪問や残薬解消などの対⼈業務を重視した評価を、薬局の機能分化の在り⽅を含め検討する。これらの⾒直しと併せて、様々な形態の保険薬局が実際に果たしている機能を精査し、それに応じた評価を更に進める。

平成30年
患者本位の医薬分業を実現し、地域において薬局が効果的・効率的にその役割を果たすことができるよう、調剤報酬の在り方について引き続き検討する。

令和元年
調剤報酬について、2018年度診療報酬改定の影響の検証やかかりつけ機能の在り⽅の検討等を⾏いつつ、地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価や、対物業務から対人業務への構造的な転換の推進やこれに伴う所要の適正化等、2020年度診療報酬改定に向け検討する。その際、医療機関及び薬局における調剤の実態や報酬体系を踏まえ、調剤料などの技術料について、2018年度診療報酬改定の影響や薬剤師の業務の実態も含めた当該技術料の意義の検証を⾏いつつ適正な評価に向けた検討を⾏う。

 

医薬分業の今後のあり方について

「薬剤師が本来の役割を果たし地域の患者を⽀援するための医薬分業のあり⽅について(薬機法等制度改正に関するとりまとめ)」

(平成30年12月25⽇厚⽣科学審議会医薬品医療機器制度部会)から診療報酬に関連し得る主な内容を抜粋

1.医薬分業の現状

○ (前略)厚⽣労働省の調査では、薬局において応需した処方箋のうち約2.8%について疑義照会が⾏われ、応需処方箋の約1.0%が処⽅変更につながっていることが示されるなど、一定の役割を果たしてきた。その⼀⽅で近年、これまで⻑らく薬局においては概して調剤における薬剤の調製などの対物中⼼の業務が⾏われるにとどまり、薬剤師による薬学的管理・指導が⼗分に⾏われているとはいえず、そのような状況下での医薬分業については、患者にとってのメリットが感じられないとの指摘や、公的医療保険財源や患者の負担に⾒合ったものになっていないとの指摘がされるようになってきている。

○ (前略)1970年代以降、診療報酬で処⽅箋料の引上げや薬価差解消等の措置がとられたこともあり、処⽅箋受取率は上昇を続け、現在では処⽅箋受取率7割 、薬局数は5万9千を超えている。費⽤⾯では、調剤技術料は調剤報酬改定での引上げもあって直近で1.8兆円に達しており、収益を内部留保として積み上げている薬局もある

○ このような中で、厚⽣労働省は、平成27年に患者本位の医薬分業の実現に向けて「患者のための薬局ビジョン」を策定し、かかりつけ薬剤師・薬局を推進して、薬剤師の業務を対物業務から対人業務を中心とした業務へシフトさせ、薬剤師がその専⾨性を発揮するよう、医療保険制度等における対応も含めて施策を進めてきた。

○ 今回、本部会では、薬剤師・薬局のあり⽅と併せて医薬分業のあり⽅に関して議論してきたが、医薬分業により、医療機関では医師が⾃由に処⽅できることや医薬品の在庫負担がないことに加え、複数の医療機関を受診している患者について重複投薬・相互作用や残薬の確認をすることで、患者の安全につながっているという指摘がある一方で、在の医薬分業は、政策誘導をした結果の形式的な分業であって多くの薬剤師・薬局において本来の機能を果たせておらず医薬分業のメリットを患者も他の職種も実感できていないという指摘や、単純に薬剤の調製などの対物中心の業務を⾏うだけで業が成り⽴っており多くの薬剤師・薬局が患者や他の職種から意義を理解されていないという危機感がないという指摘、さらには、薬剤師のあり⽅を⾒直せば医薬分業があるべき姿になるとは限らずこの際院内調剤の評価を⾒直し、院内処⽅へ⼀定の回帰を考えるべきであるという指摘があった。このことは関係者により重く受け⽌められるべきである。

2.今後の地域における薬物療法の提供に当たっての患者⽀援のあり⽅

○ (前略)患者は、外来、在宅、⼊院、介護施設など複数の療養環境を移⾏することから、療養環境に関わらず、医師と薬剤師が密に連携し、他の職種や関係機関の協⼒を得ながら、患者の服薬状況等の情報を一元的・継続的に把握し、最適な薬学的管理やそれに基づく指導を実施することが重要となっている。

○ (前略)がんの薬物療法に関して、経⼝薬が増加して外来で処⽅される機会が多くなっているなど、専門性が高い薬学的管理が継続的に必要となる薬物療法が提供される機会が増加している。このような状況に適切に対応するためには、臨床現場で専⾨性が⾼く、実践的な経験を有する医療機関の薬剤師が中⼼的な役割を果たしつつも、地域の実情に応じて、⼀定の資質を有する薬局の薬剤師が医療機関の薬剤師と連携しながら対応することが望ましいと考えられる。

○ (前略)薬剤師・薬局が経済的な利益の追求や効率性にのみ⽬を奪われ、このような機能を果たさず、調剤における薬剤の調製などの対物中心の業務にとどまる場合には、患者にとってメリットが感じられないものとなり、今後の患者に対する医薬分業の地域医療における意義は⾮常に⼩さくなると⾔わざるを得ない

○ 本部会での議論では、現在の薬局薬剤師と⽐較して、医療機関の薬剤師は医療への貢献度が他の職種から⾒てもわかりやすく、その役割が⾒える存在になっている⼀⽅で、医療機関の薬剤師業務が⼗分評価されておらず、医療機関の薬剤師の総数が薬局の薬剤師に比較して増えていないとの指摘があった。

○ 今後、薬局薬剤師と医療機関の薬剤師が連携して、外来や⼊退院時に患者情報等の共有を⾏いながら切れ⽬のない薬学的管理と患者⽀援を⾏うことが⼀層求められると考えられるが、そのためには、医療機関の薬剤師の役割はさらに重要になってくる

3.おわりに

○ 本部会では、今回、薬剤師・薬局のあり⽅と医薬分業のあり⽅に関して幅広く議論してきたが、これには、薬剤師法や薬機法上の措置のほか、医療保険制度や介護保険制度における報酬上の措置、医療法における医療計画上の措置など関連制度が密接に関係する。そのため、それら関連制度の検討に当たっては、今回の本部会での議論を踏まえることが期待される。

○ (前略)医療保険制度における対応においては、平成28年度改定以降の調剤報酬改定において、患者本位の医薬分業となるよう、累次にわたる改定で⾒直しを進めるとされたが、今回の制度部会での議論も⼗分踏まえ、患者のための薬局ビジョンに掲げた医薬分業のあるべき姿に向けて、診療報酬・調剤報酬において医療機関の薬剤師や薬局薬剤師を適切に評価することが期待される。

 

調剤報酬に関する現状・課題

【現状・課題】

○ 薬局数は増加している(平成29年度では約5.9万)。20店舗以上を経営する薬局の割合は増加傾向にある(全体の20〜30%)。一方、個人又は1店舗の薬局の割合は減少傾向にある(全体の10%程度)。
○ 平成30年度調剤報酬改定において、ポリファーマシーへの対応、医療機関等への情報提供、重複投薬への対応等の評価や調剤料の適正化を⾏い、対物業務から対⼈業務への転換を進めた。また、いわゆる⾨前薬局や⼤型チェーン薬局の調剤基本料の適正化を⾏った。
○ 調剤料は、処方内容の確認、医師への問合せ(疑義照会を含む)、薬剤調製等の業務に係る技術料。調剤業務は、①患者情報等の確認、②処方内容の確認、③調剤設計、④薬剤の調製・取りそろえ、⑤最終監査、⑥患者への情報提供、服薬指導、⑦調剤録・薬歴の作成などのステップから構成される。
○ 内服薬の投与日数は、全体の約45%が14日分以下となっている。
○ 平成29年度の技術料の内訳は、調剤基本料が約5,500億円、調剤料が約9,900億円、薬学管理料約3,700億円であり、調剤料がその約半分を占めている。
○ 技術料に占める調剤料の割合は近年減少傾向にある。対⼈業務を評価する薬学管理料の占める割合は約20%程度。

【論点】

<総論>
○ 患者本位の医薬分業の実現に向けて、平成30年度調剤報酬改定の影響を検証しつつ、地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価や、対物業務から対⼈業務への構造的な転換の推進を進めるため、どのような対応が必要と考えるか。

<調剤料>
○ 内服薬の調剤料は投与⽇数により、5点(1⽇分の調剤)から86点(31日分以上の調剤)まで変動する。薬局の調剤業務の内容を踏まえつつ、調剤料をどのように⾒直していくべきか。
○ 調剤技術料に占める調剤料の割合は⼤きく、調剤料の⾒直しによる薬局への影響は⼤きい。このことを踏まえ、対物業務から対人業務への転換をどのように進めていくべきか。