
新着情報
(お知らせ)2019禁止表国際基準(日本語版)
JADAホームページに、「2019禁止表国際基準(日本語版)」が公開されています。(https://www.playtruejapan.org/info/2019%E7%A6%81%E6%AD%A2%E8%A1%A8%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%9F%BA%E6%BA%96%EF%BC%88%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88%EF%BC%89%E3%82%92%E5%85%AC%E9%96%8B%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F/)
2019年1月1日~2019年12月31日の期間は、2019禁止表国際基準の適用となります。
2019年1月1日以降、薬局等で相談を受けた場合は、「2019禁止表国際基準(日本語版)」を参照してください。
なお、日本薬剤師会の「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック」は、改定時期が2019年夏頃となります。
2019年1月1日から「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック2019年版」が発行されるまでの間は、必ず「2019禁止表国際基準(日本語版)」と対照しながら対応するようにしてください。
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2019 年禁止表 主要な変更の要約と注釈
常に禁止される物質と方法(競技会(時)および競技会外)
禁止物質
S1. 蛋白同化薬
S1.1a. 外因性蛋白同化男性化ステロイド薬
● 4-ヒドロキシテストステロンは、内因性に低濃度産生される可能性があるため、S1.1b“外因的に投与した場合の内因性 AAS”へ移動した。
● ボランジオールは、S1.1b に含まれる 19-ノルアンドロステンジオールの異性体の1つであるため削除した。
S1.1b. 外因的に投与した場合の内因性 AAS およびそれらの代謝物と異性体
● S1.1b のタイトル“外因的に投与した場合の内因性 AAS”は、外因的に投与した場合のすべての内因性 AAS およびそれらの代謝物と異性体が禁止されることを明確にするため、“外因的に投与した場合の内因性 AAS およびそれらの代謝物と異性体”へ変更した。したがって、現在の例示は、内因性 AAS およびそれらの代謝物/異性体を含んでいる。
● 内因性 AAS の代謝物と異性体の例は簡略化し、現在栄養補助食品に含有され使用できることが知られている、あるいは隠蔽薬(例えば“ステロイドプロファイル”に影響するもの等)として使用される可能性がある内因性物質のみを残した。現在示されている例示は以下のとおり。
・ 7α-ヒドロキシ-DHEA;
・ 7β-ヒドロキシ-DHEA;
・ 4-アンドロステンジオール (アンドロスタ-4-エン-3β,17β-ジオール);
・ 5-アンドロステンジオン (アンドロスタ-5-エン-3,17-ジオン);
・ 7-ケト-DHEA;
・ エピアンドロステロン (3β-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17-オン);
・ エピジヒドロテストステロン (17β-ヒドロキシ-5β-アンドロスタン-3-オン);
・ エピテストステロン
● 内因性 AAS の代謝物/異性体の例として以前示された他のすべての物質は、この分類の特定の例として削除した。しかしながら、当該物質が外因的に投与されることは、従来通り禁止である。禁止表は、通例、アスリートや関係者に対して役立つ情報を提供しない限り、代謝物を記載しない。削除された代謝物は、複数の名称を持つ可能性がある。これらについては、栄養補助食品に含有され使用できる、あるいは生物学的活性を持つことは知られていない。
● 内因性 AAS の外因的な投与に対するマーカーとしてのこれらの代謝物の分析は、既に特定の WADA Technical Documents において対象とされている。
・ 19-ノルアンドロステロンと 19-ノルエチコラノロンは 19-ノルステロイド、ナンドロロン、19-ノルアンドロステンジオールおよび 19-ノルアンドロステンジオンの代謝物であり、TD19NA の中で対象として示されている。
・ テストステロン及びその前駆体の代謝物であるアンドロステロン、エチオコラノロン、5α-アンドロスタン-3α,17β-ジオール(5αアジオール) 及び 5β-アンドロスタン-3α,17β-ジオール (5βアジオール)は、“ステロイドプロファイル”のマーカーとして定義され、TDEAAS 及び TDIRMS において網羅されている。
・ 以前記載されていたその他のすべての物質(アンドロスタン- 及び アンドロステンジオール類)もまた、外因的に投与された場合は、“ステロイドプロファイル”(TDIRMS)のマーカーの GC/C/IRMS 分析を通して監視される。
● 2-アンドロステノン (5α-アンドロスタ-2-エン-17-オン) は生物学的活性をより反映する S4.1 アロマターゼ阻害薬へ移動した。この物質の類似物質および異性体もまた2-アンドロステノール(5α-アンドロスタ-2-エン-17-オール)、3-アンドロステノール(5α-アンドロスタ-3-エン-17-オール) および 3-アンドロステノン (5α-アンドロスタ-3-エン-17-オン)として S4.1 中に含んだ。
● エピアンドロステロン (3β-ヒドロキシ-5α-アンドロスタン-17-オン) は、栄養補助食品に含まれ使用される可能性があるため、例として追加した。
S1.2. その他の蛋白同化薬
● オスタリンは、現在国際的一般名称(INN)であるエノボサルムも掲載している。
S2. ペプチドホルモン、成長因子、関連物質および模倣物質
● 低酸素誘導因子(HIF)活性化薬の例を追加した。追加した例は、ダプロデュスタット(GSK1278863) およびバダデュスタット (AKB-6548)である。さらにモリデュスタットの開発コード番号であるBAY 85-3934を掲載した。
● S2.2はこの分類に含まれる物質をより正確に反映するため、タイトルを“ペプチドホルモンおよびそれらの放出因子”へ変更した。
● グレリンおよびヘキサレリンは、現在それらのINNであるレノモレリンおよびエキサモレリンをそれぞれ掲載した。
● マシモレリンは、成長ホルモン分泌促進物質の例として追加した。
S3. ベータ 2 作用薬
● トレトキノール(トリメトキノール)はベータ2作用薬であり、S3の例として追加した。これは、特にアジアの一部の国において経口薬として使用される風邪やインフルエンザの治療薬の成分である。
S4. ホルモン調節薬および代謝調節薬
● 2-アンドロステノン(5α-アンドロスタ-2-エン-17-オン)は、生物学的活性をより反映するため S1.1b からこの分類へ移動した。この物質の類似物質および異性体 2-アンドロステノール(5α-アンドロスタ-2-エン-17-オール)、3-アンドロステノール(5α-アンドロスタ-3-エン-17-オール) および 3-アンドロステノン(5α-アンドロスタ-3-エン-17-オン)も S4.1 へ新たに掲載した。
● S4.4 のタイトルは“アクチビン受容体ⅡB 活性化を阻害する物質”へ変更し、一部の例を記載した。これらには、ミオスタチン阻害薬であるミオスタチン中和抗体(例:ドマグロズマブ、ランドグロズマブ、スタムルマブ)、ミオスタチン結合蛋白(例: フォリスタチン、ミオスタチンプロペプチド)、ミオスタチン発現を減少あるいは除去する物質、およびアクチビン受容体ⅡB 競合薬[デコイアクチビン受容体(ACE-03 等)]、抗アクチビン受容体ⅡB 抗体(ビマグルマブ 等) 、アクチビン中和抗体が含まれる。この変更は、この受容体が影響をうける様々な方法を反映した。
禁止方法
M3. 遺伝子および細胞ドーピング
● M3.3 には、細胞が既に含まれていることを反映するために、この分類のタイトルを“遺伝子および細胞ドーピング”へ変更した。外傷の治療において、通常の機能に戻すだけでその機能を増強しない限り、幹細胞の使用は禁止されない。遺伝子編集により修飾可能な過程をより完全に定義するために、“転写後制御”の文言を追加した。
競技会(時)に禁止される物質と方法
● 禁止表の他のセクションと同様に世界アンチ・ドーピング規程の4.2.2に合わせるため冒頭部分の文言を修正した。これに関連して、“categories (カテゴリー)”を“classes (分類)”へ置き換えた。
S6. 興奮薬
● 化学命名法の整合性のため、1,3-ジメチルブチルアミンは、4-メチルペンタン-2-アミンも表した。メチルヘキサンアミンのさらに2つの類似物質である5-メチルヘキサン-2-アミン(1,4-ジメチルペンチルアミン)および3-メチルヘキサン-2-アミン(1,2-ジメチルペンチルアミン)を例として追加した。
● ジメチルアンフェタミンには、INNであるジメタンフェタミンを掲載した。他のアンフェタミン化合物はINNで統一した。
特定競技において禁止される物質
P1. ベータ遮断薬
● レボブノロールはブノロールの一方の光学異性体である。そのため、レボブノロールはP1の例示より削除した※。
※ JADA 訳注:本文は英語原文の直訳ではなく、その意味合いが明瞭となるよう日本語訳を変更している。
*以前の変更と説明の詳細については、www.wada-ama.org/en/questionsanswers/prohibited-list-qaにある禁止表 Q&A を参照されたい。
2019 年禁止表 JADA による日本語版補足説明
2019 年禁止表国際基準(日本語版)は、より明瞭な日本語版を作成するため、2018 年から 2019 年にかけ英語原文に変更がない箇所においても一部の日本語訳を変更した。変更箇所は以下のとおり。
禁止表分類 | 英語(原文) | 2018 年日本語版 | 2019 年日本語版 | |
該当頁 | 変更内容 | |||
・『~または~』と『~又は~』が混在
・語尾 |
本文 全体 |
・『~又は~』で統一 ・語尾を統一 |
||
S2.1 | Erythropoiesis | 赤血球新生 | 3 頁 | 赤血球造血 |
S2.1.1 | Peginesatide | ペジネサタイド | 4 頁 | ペギネサタイド |
S2.1.3 | Fibre type | 筋線維組成 | 5 頁 | 筋線維タイプ |
M2.2 | ~ in the course of hospital treatments~ |
入院 | 9 頁 | 入院設備を有する医療機関での治療およびその受診過程 |
M3.2 | ~transcriptional, ~ or epigenetic regulation of gene expression. |
・転写 ・エピジェネティック |
9 頁 | ・転写制御 ・エピジェネティック制御 |