公益社団法人 鹿児島県薬剤師会

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解毒剤を置いている病院は薬剤師会が知っている Σ(゚Д゚) ドラえもんのポケット・・・

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「解毒剤を置いている病院は薬剤師会が知っているとメーカに言われた」

そんな相談が寄せられた。

薬剤師会は医薬品卸でもない、医薬品メーカーでもない。

どこの病院に、どのような医薬品等が納入されているかを知りようがない。(会員の薬局に関しては、MyDBで何とか在庫検索できますが・・・)

なんとも無責任な回答。

相談者が言うには、カーボン系の農薬を前日に飲んでしまい、嘔吐等で救急車で病院に搬送されたとのこと。

暫くして状態が落ち着いた(回復)ので、その日のうちに自宅に帰ったよう。

それでも、朝起きると、頭がもうろうとしていて、農薬の影響が抜けきっていないようだとのこと。

いくつかの病院にあたったが、どのこの病院にも解毒剤を置いていないと断られ、農薬メーカーに相談したところ、上述のような回答があったとのこと。

電話の様子からは、救急車で運ばれた病院でおそらく適切に処置を受け、中毒状態は既に脱しており、経過観察をすればよいのではないかと思われた。

救急対応ができる病院に一時的に入院し、様子をみるにとどめるだけでよいのでは考え、少し大きめの病院に相談してみるように勧めたが・・・

さて、カーボン系とのことだったが、おそらくカーバメイト系の誤り。

症状からすると軽症の中毒と考えられる。

対応は、基本的には有機リン系農薬への対応と同じ。

但し、PAMは推奨されない。

硫酸アトロピンでの処置となる。

PAMを常備している病院は、そうそうない。

しかし、硫酸アトロピンであれば、救急カートの置いてある病院であれば、どこにでもあるはず・・・

相談者が問い合わせた病院も在庫がない、そして、「解毒剤を置いている病院は薬剤師会が知っているとメーカに言われた」とのメーカー回答にはならなかったはず・・・

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<参考>

農薬中毒の症状と治療法(公益財団法人 日本中毒情報センター 監修)第17版(平成28年4月) 農薬工業会

http://www.jcpa.or.jp/labo/poisoning/