シャクヤク

 

学名:Paeonia lactiflora Pall. var. trichocarpa (Bunge) Stearn

科名:ボタン科  用部:根茎

生薬名:芍薬

用途:消炎、鎮痛、止血、鎮痙

代表的な漢方薬:芍薬甘草湯、当帰芍薬散、葛根湯

説明文:
中国東北地区から北朝鮮にかけての原産で、ボタンより先にわが国に入った多年草。
初夏に大きく美しい花を開くが、花の色は白から紅色まで品種によりさまざまある。
ボタンにくらべて葉の緑が濃く、光沢がある。

薬草の詩:
花が美しいことから女性の立ち姿にたとえられております。“立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花”。これをもじって“立てばパチンコ、座ればマージャン、歩く姿はモク拾い”と、ある本に書いでありました。
さて、このシャクヤクは冬には茎が枯れますが、早春に赤い芽を一斉に吹き出します。
実は私、この芽吹きを見たことがなかったので、ぜひ見たいものだと思っておりましたが、近くに健康の森公園(鹿児島市犬迫町)がオープンし、そのシャクヤク・ボタン園で見ることができました 。2月の初めごろだったと思います。おおわれた土をはねのけて、あっちにもこっちにも赤い芽を出しておりました。寒い日でしたが、そう遠くない日に確実に暖かな季節が来るのを示唆しているかのようでした。初夏のころの花はもちろんですが、この時期もl度は見ておいて下さい。この芽の色が、漢方好事家の間では人間の血液の色だ、と言われております。
薬用目的では奈良、北海道、長野、島根、静岡などで栽培されていますが、根の成長を促すために花は蕾のうちに取ってしまいますので、きれいな花は観賞できないのは残念です。
花をそのままにしておくと、秋に実を結びます。この熟した種子を植えると、わりと簡単に芽が出ますが、保存しておいた種子では発芽率が悪いとの事です。
4~5年目の秋には根を掘り、外皮を除去して乾燥したものを「白芍」ビャクシャク、外皮をつけたまま乾燥したものを「赤芍」セキシャクと呼んでいます。
漢方では筋肉、とくに腹直筋の緊張を緩め、腹痛、身体手足の痛み、下痢などに用いられるほか、化膿性腫物や婦人科疾患に応用されています。白芍は鎮痛の効果が強く、赤芍は利尿、散血の効果が高いとされています。(正)

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