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意味不明の回答・・・若者の日本語リテラシーが低下しているとは言うものの・・・
某会見にて
質問者:〇〇薬剤師会が、非薬剤師を対象にした研修会*を開催したが、そのことについてどのように考えるか。(*:20190402通知に記載されている研修のこと)
回答者:薬剤師の仕事を任せられる相手に対する研修を行うという趣旨においては、理解できなくはないが、その一方で、いわゆる0402通知によれば、誰にこの仕事を任せるかという判断は薬剤師がしなくてはならない。時代変遷の中で、薬剤師に非薬剤師でも対応できるような業務をやらせたままでよいのか、という考え方があるのかもしれないが、薬剤師が調剤を行うのと、非薬剤師が調剤を行うのは同じでないと考える。
若者世代の日本語力が急激に低下しており、例えば9時10分前までには会場に集合するよう指示したところ、9時ぎりぎりに来たり、あるいは、9時を数分過ぎてくるようなものがいるとの記事を、最近、目にした。
指示を出した者の意図としては、8時50分までに集合するようにということだが、この場合、読みようによっては9時10分がタイムリミットと読めなくもない。
若者の日本語リテラシーが低下しているとは、一概に言えない。
親切で確実な指示出しをするのであれば8時50分に集合とすべきかもしれない。
一方、上記の質疑応答の回答だが、質問に対して的を射た回答とは言えないと思ってしまうのは、私だけだろうか。
なんとなく言わんとすることは分からなくはないが・・・説明の言葉が足りない(同通知の発出に係る会議などの経過を踏まえた上での解釈に関する説明が足りない。)上、研修実施者に対する複雑な思いをカモフラージュしつつの回答で、結局、よくわからない回答になってしまっている。
とは言え、質問に対する明確な回答を捻りだすのは、本当に難しい。
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「調剤業務のあり方について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000498352.pdf
薬 生 総 発 0 402 第 1 号
平 成 3 1 年4月2 日
都 道 府 県
各 保健所設置市 衛生主管部(局)長 殿
特 別 区
厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長
(公印省略 )
調剤業務のあり方について
日頃から薬事行政に対して御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
薬剤師法(昭和 35 年法律第 146 号)第 19 条においては、医師、歯科医師又は獣医師が自己の処方箋により自ら調剤するときを除き、薬剤師以外の者が、販売又は授与の目的で調剤してはならないことを規定しています。
調剤業務のあり方については、平成 28 年度厚生労働科学特別研究事業「かかりつけ薬剤師の本質的業務と機能強化のための調査研究」において、「機械の使用や薬剤師の指示により他の従業者に行わせること」について検討が行われていたところであり、当該研究結果も踏まえ、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」(平成 30 年 12 月 25 日)において、薬剤師の行う対人業務を充実させる観点から、医薬品の品質の確保を前提として対物業務の効率化を図る必要があり、「調剤機器や情報技術の活用等も含めた業務効率化のために有効な取組の検討を進めるべき」とされたところです。
このため、調剤業務のあり方について、薬剤師が調剤に最終的な責任を有するということを前提として、薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務の基本的な考え方について、下記のとおり整理しましたので、業務の参考としていただくようお願いします。
なお、今後、下記2に示す業務を含む具体的な業務に関しては、薬局における対物業務の効率化に向けた取組の推進に資するよう、情報通信技術を活用するものも含め、有識者の意見を聴きつつ更に整理を行い、別途通知することとしていることを申し添えます。
記
1 調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき、以下のいずれも満たす業務を薬剤師以外の者が実施することは、差し支えないこと。なお、この場合であっても、調剤した薬剤の最終的な確認は、当該薬剤師が自ら行う必要があること。
・当該薬剤師の目が現実に届く限度の場所で実施されること
・薬剤師の薬学的知見も踏まえ、処方箋に基づいて調剤した薬剤の品質等に影響がなく、結果として調剤した薬剤を服用する患者に危害の及ぶことがないこと
・当該業務を行う者が、判断を加える余地に乏しい機械的な作業であること
2 具体的には、調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき、当該薬剤師の目が届く場所で薬剤師以外の者が行う処方箋に記載された医薬品(PTP シート又はこれに準ずるものにより包装されたままの医薬品)の必要量を取り揃える行為、及び当該薬剤師以外の者が薬剤師による監査の前に行う一包化した薬剤の数量の確認行為については、上記1に該当するものであること。
3 「薬剤師以外の者による調剤行為事案の発生について」(平成 27 年6月 25日付薬食総発 0625 第1号厚生労働省医薬食品局総務課長通知)に基づき、薬剤師以外の者が軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為は、たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても、引き続き、薬剤師法第19 条に違反すること。ただし、このことは、調剤機器を積極的に活用した業務の実施を妨げる趣旨ではない。
4 なお、以下の行為を薬局等における適切な管理体制の下に実施することは、調剤に該当しない行為として取り扱って差し支えないこと。
・納品された医薬品を調剤室内の棚に納める行為
・調剤済みの薬剤を患者のお薬カレンダーや院内の配薬カート等へ入れる行為、電子画像を用いてお薬カレンダーを確認する行為
・薬局において調剤に必要な医薬品の在庫がなく、卸売販売業者等から取り寄せた場合等に、先に服薬指導等を薬剤師が行った上で、患者の居宅等に調剤した薬剤を郵送等する行為
5 薬局開設者は、薬局において、上記の考え方を踏まえ薬剤師以外の者に業務を実施させる場合にあっては、保健衛生上支障を生ずるおそれのないよう、組織内統制を確保し法令遵守体制を整備する観点から、当該業務の実施に係る手順書の整備、当該業務を実施する薬剤師以外の者に対する薬事衛生上必要な研修の実施その他の必要な措置を講じること。
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関連
日病薬の答申書
https://www.jshp.or.jp/cont/19/0725-3.pdf
令和元年7月11日
一般社団法人 日本病院薬剤師会
会長 木平 健治 殿
病院診療所薬剤師業務のあり方に関する検討会
委員長 眞野 成康
答 申 書
(調剤業務のあり方について)
諮問のあった調剤業務のあり方について、本検討会で検討を行ったので、下記の通り答申する。
記
1.検討の経緯
平成 31 年 4 月 2 日に厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長から発出された「調剤業務のあり方について(平成 31 年 4 月 2 日付薬生総発 0402 第 1号)」(以下、本通知)では、薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務の基本的考え方が示された。今後有識者の意見を聴きつつ更に整理を行い、別途通知することとされている。次の通知が発出される前に本会の考え方を整理しておく必要があることから、会長の諮問を受けて検討を行った。
2.調剤の概念
調剤の概念は、医療機関の調剤所内において行われている「薬剤の調製」を意味する『いわゆる狭義の調剤』から「処方箋の確認から薬剤の調製、薬の適正使用に資する服薬指導、効果や副作用のモニタリング・評価、処方提案にいたる薬物治療の一連の流れ(医薬品適正使用サイクル)」を意味する『いわゆる広義の調剤』まで幅広い概念が存在しているものと考えられる。
従前より、この『いわゆる広義の調剤』をもって、本会の調剤の概念としてきたが、現時点でその考え方について変更する必要性は認められなかった。
しかしながら、調剤の概念や調剤業務のあり方を考えるとき、今後の医療や科学の進歩等に応じて、薬剤師が専門性を発揮すべき業務はさらに拡がりを見せるなど、変化していくものと捉えるべきである。
3.薬剤師以外の者の業務範囲
前項で調剤の概念について考え方を整理したが、本通知において整理された薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務は、「調剤」のうち、「薬剤の調製」を意味する『いわゆる狭義の調剤』に関する業務として取り扱う。
本検討会としては、本通知における調剤に関する一連の業務は、本来すべて薬剤師が実施するものであるが、医療の進歩に伴って薬剤師が行う臨床業務を充実させることを前提として、薬剤師の責任のもと、医療安全等に十分配慮し、検証と再現ができる形で、調剤業務の一部を、やむを得ず薬剤師以外の者に補助させることは可能であると考える。
なお、薬剤師以外の者に業務の一部を実施させる場合には、予め業務手順書等を定め、薬剤師以外の者が薬学的な判断を加える余地のないように配慮すべきである。
本通知には、薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務として「処方箋に記載された医薬品の必要量を取り揃える行為」とあるが、そうした行為で扱うものには麻薬・向精神薬・毒薬等、取り扱いに注意が必要な薬剤が含まれることから、薬剤の特性等によって慎重に考慮すべきであり、薬剤師以外の者に実施させる場合には十分な配慮が必要である。
病院診療所薬剤師に関連する具体的な業務として、本通知で触れられている「薬剤師以外の者が軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為は、たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても、引き続き、薬剤師法第 19 条に違反すること」や「調剤済みの薬剤を患者のお薬カレンダーや適切な管理体制の下に実施される院内の配薬カート等へ入れる行為が調剤に該当しない行為である」とする考え方は、本会として支持して差し支えないと考える。
また、「調剤機器の積極的な活用」については、各医療機関の実情を考慮した上で、推進すべきである。
調剤業務のあり方は、上記に述べたとおり、各医療機関の機能や規模等により異なるものと考えられる。従って、薬剤師以外の者に実施させる具体的な業務については、各医療機関の実情に合わせて、当該医療機関の薬剤師の責任において個別に検討・実施されるものであり、現時点で本会が個別具体的な業務を示すことは適切ではないと考える。
4.薬剤師以外の者に必要な研修の実施について
薬剤師以外の者に必要な研修の実施については、各医療機関の実情に合わせて、当該医療機関の薬剤師の責任において個別に検討するものであり、現時点で本会が薬剤師以外の者に対する具体的な研修内容を示すことは適切ではないと考える。
また、薬剤師以外の者に業務を実施させる場合は、薬剤師以外の者に対する薬事衛生上の研修に加えて、倫理及び個人情報の保護や保健医療上必要な研修の実施と責任体制の構築を、各医療機関の薬剤部門の長及び医薬品安全管理責任者に求めるべきである。
5.おわりに
諮問のあった調剤業務のあり方については以上のとおり整理した。今後、薬剤師以外の者の業務範囲や薬剤師以外の者に対する必要な研修については、本会として調査の実施や事例の収集等を行い、引き続き検討すべ
きである。
また、薬剤師法第1条に規定される薬剤師の任務は調剤のみにとどまらないこと等を踏まえ、医薬品が安全かつ適正に使用されるために、薬剤師は薬に関する業務全般について責任を持って実施すべきであること、及びそれを達成するための環境整備が図られるよう努力していくことを本会として改めて表明すべきである。