HOME > 薬用植物の紹介

薬用植物の紹介

薬用植物の紹介

【第42回】 番外編 菜の花

【第41回】 山茱萸(サンシュユ) 〔ミズキ科〕

【第40回】 肉桂(ニッケイ) 〔クスノキ科〕

【第39回】 山椒(サンショウ) 〔ミカン科〕

【第38回】 連翹(レンギョウ) 〔モクセイ科〕

【第37回】 現の証拠(ゲンノショウコ) 〔フウロソウ科〕


【第36回】 烏柄杓(カラスビシャク) 〔サトイモ科〕

【第35回】 鬱金(ウコン) 〔ショウガ科〕

【第34回】 白藜(シロザ) 〔アカザ科〕


【第33回】 サフラン 〔アヤメ科〕


【第32回】 蕺草(ドクダミ) 〔ドクダミ科〕


【第31回】 茶の木(チャノキ) 〔ツバキ科〕


【第30回】 木槿(ムクゲ) 〔アオイ科〕


【第29回】 吾木香(ワレモコウ) 〔バラ科〕


【第28回】 南蛮煙管(ナンバンギセル) 〔ハマウツボ科〕


【第27回】 蓮(ハス) 〔ハス科〕


【第26回】 浜木綿(ハマユウ) 〔ヒガンバナ科〕


【第25回】 鳩麦(ハトムギ) 〔イネ科〕


【第24回】 波布草(ハブソウ) 〔マメ科〕


【第23回】 河原撫子(カワラナデシコ) 〔ナデシコ科〕


【第22回】 桔梗(キキョウ) 〔キキョウ科〕


【第21回】 女郎花(オミナエシ) 〔オミナエシ科〕


【第20回】 赤芽柏(アカメガシワ) 〔トウダイグサ科〕


【第19回】 鹿子草(カノコソウ) 〔オミナエシ科〕


【第18回】 野蒜(ノビル) 〔ユリ科〕


【第17回】 檜扇(ヒオウギ) 〔アヤメ科〕


【第16回】 甘茶(アマチャ) 〔ユキノシタ科〕

【第15回】 痛取(イタドリ) 〔タデ科〕


【第14回】 楠(クスノキ) 〔クスノキ科〕

【第13回】 艶蕗(ツワブキ) 〔キク科〕

【第12回】 錦木(ニシキギ) 〔ニシキギ科〕

【第11回】 藤袴(フジバカマ) 〔キク科〕

【第10回】 木大角豆(キササゲ) 〔ノウゼンカズラ科〕

【第9回】 枸杞(クコ) 〔ナス科〕

【第8回】 葛(クズ) 〔マメ科〕

【第7回】 棗(ナツメ) 〔クロウメモドキ科〕

【第6回】 川骨 (コウホネ) 〔スイレン科〕

【第5回】 馬酔木 (アセビ) 〔ツツジ科〕

【第4回】 編笠百合(アミガサユリ) 〔ユリ科〕

【第3回】 アケビ 〔アケビ科〕

【第2回】 黄連(オウレン) 〔キンポウゲ科〕
 
【第1回】 牡丹(ボタン) 〔ボタン科〕



番外編 菜の花

2012年3月25日 蒲生町あたりにて

週末、薩摩川内でのカラフトワシの観察を終え、加治木町のクロツラヘラサギを観察しようと車を走らせていた途中で、桜島を背景にした菜の花の絨毯を見つけた。ちょうど、赤信号で停車、その間に車窓から写真を一枚。

(写真と文) Air星人
山茱萸(サンシュユ)  Cornus officinalis

2012年3月17日 新宿御苑にて

近くを通り過ぎたことは何度もあるが、初めて新宿御苑を散策してみた。大都会の真っただ中にこんな空間があることに、まず驚いた。が、さらに、そこにある数々の植物とその姿に驚いた。街路樹や庭木などは、人の都合で剪定され、それなりの形を保たれているが、新宿御苑の木々はあまり手を加えないで保存されている。つまり、自然の状態での樹形を楽しむことができ、とても面白い。園内には池もあり、カモなどを観察することもできる。運が良ければカワセミにでくわすこともある。新宿駅南口にドカンとそびえ立つDOCOMOビル・・・・新宿御苑を我が庭のように借景。ビルと巨木、そのコントラストも面白い。
さて、写真は御苑で見かけたサンシュユ。訪れたときは、ちょうど満開。冬の姿から春の姿に変わりゆく御苑を小雨の中堪能。

赤く熟した偽果の果肉を乾燥させたものが山茱萸。滋養、強壮、収斂などの効能があるとして八味地黄丸などの漢方処方に配合される。

(写真と文) Air星人

肉桂(ニッケイ)  Cinnamomum okinawense

2012年3月28日 薬剤師会館前にて

鹿児島あたりでは、「ケセン」といったほうが名の通りがよい。そう、ケセン団子の「ケセン」。団子をくるんでいる葉っぱ。それが、ニッケイの葉。その独特の味や香りは、人によって好き嫌いがあるようだが、私は個人的にお気に入り。
暖地で古くから栽培される常緑高木。根の皮を乾燥させたものがニッケイ(肉桂、日本桂皮)。生薬桂皮(シナニッケイC. cassiaの樹皮)の代用として芳香健胃薬として、また、菓子の香料などとして利用される。体を温める作用、発汗作用などがある。
写真のニッケイは、2006年鹿児島で九州山口薬学大会が開催された折に、県外からの参加者に配布したニッケイの余りを薬剤師会会館前の花壇に植えたもの。土との相性が悪かったのか、数年経っても一向に生長していない。

(写真と文) Air星人
山椒(サンショウ)  Zanthoxylum piperitum

2012年3月28日 自宅ベランダにて

この季節、無性に「筍の木の芽和え」が食べたくなる。また、葉を一枚、掌にはさみ、パチンと打って「鯛のすまし汁」に浮かべたくなる。故に、ベランダにて栽培中。夏、アゲハの幼虫に葉を食いつくされ丸裸。その姿に、狭いベランダに大自然の営みをみるようで、それも一興。
「麻婆豆腐」の“脳天をつんざくような癖になる辛味”になくてはならない花椒(かしょう、ホアジャ)は、サンショウと同属別種のカホクザンショウの果皮を乾燥させたもの。
サンショウは、日本各地の山に生える落葉低木。葉は羽状複葉で互生(茎の節に1枚ずつ方向を違えて葉や刺が付いていること)、刺は対生(茎に節に2本の刺が向い合って葉や刺が付いていること)。香りなどが弱い「イヌザンショウ」は、刺が互生。サンショウの成熟した果皮を乾燥させたものが生薬のサンショウ(山椒)。芳香辛味健胃薬としての効があり、正月の屠蘇の材料の一つ。材は、すりこぎ棒として利用される。

(写真と文) Air星人
連翹(レンギョウ)  Forsythia suspense

2012年3月28日 薬剤師会会館前にて

春になると、スーッと伸びた枝に黄色の花を溢れんばかりに咲かせ目を引く。写真をみて、アレッ?これがレンギョウと思われる方もいらっしゃるかもしれない。が、確かにレンギョウ。市民健康祭りなど際に、来場者へのプレゼントとしてレンギョウの苗をしばしば配布。写真のレンギョウは、その余りを薬剤師会会館前の花壇に一昨年植えたもの。ようやく花を咲かせたが、一枝にポツリポツリと寂しい限り。施肥などが十分でなかったのだろうか、よく目にする開花期のレンギョウの姿とは一寸違う。きっと、来年からは、溢れんばかりの花を付けるだろう。
果実は生薬連翹。消炎、利尿、解毒、排膿などの効能を持つ。漢方薬の荊芥連翹湯などに配合され利用されている。

(写真と文章) Air星人
現の証拠(ゲンノショウコ)  Geranium thunbergii

2010年10月17日 撮影


2010年10月17日 撮影

大学の生薬学教授がゲンショウコのタンニンの大家だったからか、山野でゲンノショウコのピンク色の花を見つけると、なんとなくその教授の楽しそうな顔が浮かび、なんとも親しみを感じてしまう。
さて、何でも、その効果がすぐに現れたから、現の証拠(ゲンノショウコ)と名前がついたとか。また、花が終わり、種を巻き飛ばしたあとの形が神輿の屋根の形に似ていることからミコシグサとも呼ばれる。民間薬として、下痢止め、整腸などに利用されている。花が咲いている時期に全草を刈り取り、乾燥させたものを煎じて利用する。葉の形が、有毒植物であるウマノアシガタやキツネノボタン(いずれも黄色の花を春につける)に似ているので、必ず花が咲いているときに採取するようにする。
西日本にはピンク系が多く、東日本は白系が多い。確かに、鹿児島、熊本辺りでは、圧倒的にピンク系が多く、白色の花にはほとんど遭遇しない。この数年間で、見かけたのは、わずかに数株だけ。たまに、白い花を見つける、おみくじの大吉を引いた気分になる。種子は割りと簡単に発芽する。白花株が種子をつけているのを見つけた時などは、ちょっとだけ種子を採取しベランダの植木鉢に植えてみたりする。写真は昨年の物だが、今年もしっかり白い花を咲かせた。


2010年10月16日撮影 自宅ベランダにて

(写真と文) Air星人
烏柄杓(カラスビシャク)  Pinellia ternata

2010年10月17日 撮影
少々季節外れ 通常花期は5月~8月。葉は1~2個根生、3出複葉、小葉は楕円形、先は尖り、ほとんど全縁。

昔は、畑の雑草としてどこでも見られ、農家のお母さん方のへそくりになっていたとか。今ではすっかり、個体数が減っており、見かけることは稀。コルク層を除いた球茎は、生薬名ハンゲ(半夏)。
大学生の折、漢方薬研究会の同級生から、「これ舐めてみて」と半夏のかけらを口の中に放り込まれた。なんとも強烈なエグ味があり、声も出なくなった。「じゃあ、次、これね。」と、生姜の小片を口に放り込まれた。すると、先のエグ味が消え声も出るようになった。「どう?すごいでしょう」とニコニコ顔の彼。漢方処方の妙の一例を、身をもって体験。半夏と生姜の組み合わせ。 
半夏は、鎮嘔、鎮吐、去痰作用があり、半夏厚朴湯、半夏瀉心湯などの多くの漢方処方に利用される。

(写真と文) Air星人
鬱金(ウコン)  Curcuma longa

写真 2010年10月17日 撮影

肝臓に良いということで、すっかり、その名が拡がったウコン。“ウコンの何とか”を始め、色々な健康食品などに配合されている。基本的に安全性は高いものの、肝機能の悪い人が、肝臓に良いからと安易に摂取してしまうと逆に肝臓機能が傷害される事もあるので注意。さて、その他、ウコンは、子供の大好きメニューの定番、カレーにも入っている。あの黄色は、何を隠そう、ウコン(ターメリック)の成分であるクルクミンによる。
ウコンは、熱帯アジア原産とされる多年草で、花期8~11月。根茎をそのまま、あるいは周皮を除いて湯通しし乾燥させたものが生薬ウコン。セスキテルペンからなる精油成分や利胆作用を有すクルクミンを含む。健胃、利胆、鎮痛、止血剤として用いられる。
春ウコン、秋ウコン、紫ウコンといった呼称があるが、秋ウコンがウコン。春ウコンは、キョウオウ(姜黄 C. aromatica)、紫ウコンはガジュツ(莪朮  C. zedoaria)。


写真 2010年10月17日 撮影 薬草の集い オータム での一幕
「なに、見てんの?」 by カマキリ

(写真と文)Air星人
白藜(シロザ)  Chenopodium album

2011年10月25日 杖にするためにシロザの枝を落としているところ

なぜだか分からないが、昨年、突如、職場前の花壇にシロザが現れた。秋までそのまま放っておいたが、どうやら種子が辺りに飛んだのであろう、今年の春には花壇一面にシロザが芽吹いた。その繁殖力に面食らい、これ以上増えては大変と1本を残して、抜き取り去った。その後もひっきりなしに芽が出、そのたびに抜き取った。
残した一本は、暑い夏の太陽を目一杯受けぐんぐん大きくなり、10月頃までには杖を作るには十分くらいの人丈に育った。そろそろ種子ができそうな様子だったので、それが飛んでは大変と10月下旬に抜き取った。11月になり、花壇をみると、一時期、発芽が抑えられていたものの、またまた、そこには数センチほどのシロザがたくさん生えていた。しかも、それらの中には、花を咲かせ種子をつけようとしているものもあった。俄に芽吹き、種子の季節に間に合うように、一夏分の時間を刹那の内に進めてしまうシロザ。今頃芽吹いても、今年の秋には種を付けるわけはないとの思い込みが見事に覆されてしまった。恐るべし、シロザ。



シロザやその変種とされるアカザ(Chenopodium album var. centrorubrum)の茎は木質化して丈夫であることから軽くて丈夫な杖に利用される。アカザの杖は、痛風予防になるとも言われている。シロザやアカザの若葉や種子は食用になる。
効果については、「続 九州の薬草」 高橋貞夫著、葦書房には次のようにある。喘息、動脈硬化、中風予防、健胃強壮、便秘などに、乾燥させた全草を15~20g煎服する。虫歯、喉の痛みには煎汁でうがいするとよい。虫刺されは、生を用いる。

(写真と文) Air星人
サフラン  Crocus sativus

2011年11月14日 撮影

今頃の季節になると、幼い頃、◯◯さん宅の雑木林の中に紫色の綺麗な花を見つけたことを思い出す。その花から突き出た真紅の紐、いかにも「引っ張って」と言っているようで、好奇心を吸い付けられる。誰も見ていないことを確認し、親指と人差指でつまんでピッと引っ張ってみると、簡単にプツンと取れる。摘んだ指先は、鮮やかな濃いオレンジ色に染まり、ちょっと失敬した証拠が残る。それを拭い去ろうと洋服で指を拭こうものなら・・・・逆効果。まるで、カラーボールが命中してしまったかのように、悪事の証拠が拡大する。
今年、10月のある日、とある薬局で、芽吹いたサフランの球根を格安で販売しているのを見つけた。早速、3鉢買い込みベランダに置いてみた。11月中旬、ふと、ベランダをみると、どの鉢にも例の真紅の紐をのぞかせた綺麗な紫色の花が咲いていた。今回は、“堂々と”真紅の紐を抜き取り乾燥。早速、炊飯器に2本放り込み待つこと1時間弱。ワクワクしながら釜の中を覗き込むと、真紅の紐の辺りだけ黄色くなったサフランライス完成。“あれれ、失敗だね・・・”と家族皆で話しながら、美味しく頂いた。さて、目指せ、一面黄金色。
サフラン。球根性の多年草。花期は10月から11月。真紅の紐(柱頭)は、カルテノイド系色素クロチンを含む。瓶に、ほんの僅か入って千円ほどの価格で売られ、サフランライスなどの色付けに利用されている。また、鎮静、通経薬として民間薬、家庭薬の原料ともされる。

 
2011年11月14日 柱頭を抜き取った後の花と抜き取った柱頭(右端のものは花柱まで付いています)

(写真と文)Air星人


蕺草(ドクダミ)  Houttuynia cordata


写真2011年6月

「ドクダミがあるよ」と山歩きなどをしていると息子たちが言う。どこにもその姿は見えないが、どうやら彼らは、その独特の香りでドクダミの存在を知るらしい。しばらく歩くと、確かにドクダミの群生に出くわし、彼らの予言が立証される。
初夏になると、ちょっと湿った道端などに一斉に花を咲かせる。花びらのようにみえる白い部分は総苞片(そうほうへん)で花ではない。花は中央の黄色くみえる部分。花弁のない小さな花が集まっている。
全草を十薬(ジュウヤク)として、昔から民間で利用されている。利尿、解毒、湿疹などに用いる。多くの効能があることから十薬と呼ばれるようになった。

(写真と文) Air星人
茶の木(チャノキ)  Camellia sinensis


写真 2010年8月1日


写真 2010年10月22日

私は、お茶好きで、毎日、気が付けばお茶を口に含んでいる。それが遺伝した?のか、長男も無類のお茶好き。暑いお茶の入った湯のみを両手で包み込みしばらくボーッとするのが彼の憩いの一時。その習慣が姿に現れているのか、彼は友達から、“お茶が似合う”と言われているとか。
鹿児島は茶の生産日本第2位。頴娃、霧島、知覧などで盛んにお茶が生産されている。
写真は山中で見つけたチャノキ。秋には香りの良い白い花が咲く。実には大きな種子が3個くらい入っている。
葉を茶葉(チャバ)と呼び、風邪の頭痛、下痢に用いる。

(写真と文)Air星人
木槿(ムクゲ)  Hibiscus syriacus


写真 2010年8月1日

風に吹かれゆらゆら揺れるムクゲ。その香り誘われカラスアゲハがヒラヒラと舞い降りる。暑い日差しの中、その光景はまるで蜃気楼。
ムクゲは韓国の国花。中国原産で日本には古くから渡ってきている。花の色も、白、ピンク、薄い紫など様々。観賞用として色々なところで栽培されている。
花蕾は木槿花(モクキンカ)と呼ばれ、下痢止めに。樹皮は木槿皮(モクキンピ)と呼ばれ水虫に用いる。

(写真と文)Air星人

吾木香(ワレモコウ)  Sanguisorba officinalis


写真 2010年8月1日

これが、サクラやウメ、イチゴなどと同じバラ科?と思ってしまいたくもなるけれど、バラ科の植物ワレモコウ。秋の草原を代表する植物の一つ。日当たりのよい山野に生える。薬剤師会が毎年開催する “薬草の集い in サマー”でお目にかかることができる。マメコガネなどが花に誘われ群れていたりして、その様子をしばらく眺めていても飽きることがない。これもまた、大学1年生の時の薬用植物採取で、集めた植物の一つ。
根茎を地楡(チユ)といい、止血、止瀉に用いる。煎じ液は口内炎などの嗽(うがい)に利用。

(写真と文)Air星人

南蛮煙管(ナンバンギセル)  Aeginetia indica


写真 2010年8月21日

初めてナンバンギセルの遭遇したのは、かれこれ10年前。長崎県五島列島鬼岳。山頂に続く道脇のススキの中。息子(長男)が、突然、「変なのが咲いている」と騒ぎ出し、観てみるとナンバンギセル1本。寄生性の植物で、ススキに寄生する。
2回目にこの植物に出会ったのは、昨年、夏。次男坊の夏休みの宿題「岩石集め」に付き合って、鹿児島県内をうろついていた時。山道のススキの中で群生を発見。岩石採集はそっちのけで、しばらく、その姿を眺めていた、写真はその時のもの。
その名が表す通り、まるで煙管そのもの。何でも古名は“思ひ草”とか、物思いに頭をうなだれたように花が咲くからであろう。万葉集には次のように読まれている。
道の辺の尾花が下の思ひ草
今さらになぞ何か念はむ

注:尾花はススキのこと

漢名は、野菰(ヤッコ)、全草を利用。強壮、不妊症、強精、身体虚弱などの効ありとされる。

(写真と文) Air星人

蓮(ハス)  Nelumbo nucifera


写真 2010年8月29日 黎明館の堀にて

花が咲いたあとに出来る蜂の巣のような花托(かたく)。穴の中には種子が1つずつ入っている。本当に蜂の巣に見紛うばかり。古名はハチス、ハスの名前はそこから由来。
種子は中華料理などで出てくる。花托や茎も食用。根茎はレンコンとして食用にする。毎年、年末にはレンコンを買い込み、おせち料理用に酢レンコンを作るのが私の楽しみの一つ。何でも、レンコンの穴から“先が見通せる”とかで縁起物。熱々の蓮根の天ぷらも美味。
古来より、泥水から、すーっと花柄を伸ばし、清浄な美しい花をつける様子から、清らかさの象徴ともされている。仏様のおすわりになっている台座(蓮台)はハスの花を象ったものが多いのもそれ故。
大賀蓮は、2000年前の遺跡から見つかったハスの種子が芽吹き見事に花を咲かせ現代に蘇ったもの。行田蓮や中尊寺蓮なども何百年も前の種子が現代に芽吹いたもの。個人的に、なんとなくそれも、輪廻的で面白いと感じている。
ハスの葉の秘密も、超撥水布などに応用され、現代の最先端技術として息づいている。これもまた面白い。
さて、肝腎の薬効は、果実は蓮実(レンジツ)、種子は蓮肉(レンニク)と呼ばれ、滋養強壮、利尿、通経薬として用いられる。根茎(蓮根)は下痢、止血などに。

南京から武漢に向かう飛行機の中で供された“レンコンジュース”。黎明館脇を通り蓮の花を目にするたびに、その独特な味わいを思い出す・・・・

(写真と文) Air星人

浜木綿(ハマユウ)  Crinum asiaticum var. japonicum


写真 2009年6月21日

海辺の砂浜に生え、古い葉鞘が紙のようになり、その姿が神社でのお祓いに使われる大麻(おおぬさ)の木綿(ゆう)に似ていることから、ハマユウと呼ばれるようになった。夏に葉の間から伸びた茎の先端に白い花をつける。
花が終わると実がなるがそれを植木鉢などに埋めておくと、簡単に芽を出す。我が家のベランダ薬草園でも、何年か前に植えたハマユウの葉が青々と茂っている。が、まだ、花が咲いたことはない。いつになったら花を咲かせるかと、毎朝、水やりをしているが・・・
虫刺されの解毒や皮膚潰瘍、捻挫に根を利用する。食べると嘔吐、痙攣が起こるので食べてはいけない。

(写真と文) Air星人
鳩麦(ハトムギ)  Coix lacryma-jobi var. ma-yuen


写真 2011年8月7日

子供の頃、学校帰りの道端で、ジュズダマを集めては家に持ち帰り、糸を通して念珠を作ったりして兄弟で遊んだ。そのジュズダマとハトムギは非常によく似ている。それもそのはず、ハトムギはジュズダマの栽培種と言われている。ジュズダマの実は指で押しつぶせないが、ハトムギの実を指で押しつぶすことができ、それで区別できる。
脱穀して種皮を除いたものを薏苡仁(ヨクイニン)といい、消炎や利尿に用いる。民間では、イボ取り、肌荒れに利用される。殻付きの種子を乾燥させたものは、ハトムギ茶として利用されている。

(写真と文) Air星人

波布草(ハブソウ)  Senna occidentalis (Cassa occidentalis)


写真 2011年8月7日

 何でも名前の由来は、ハブ(毒蛇)の毒を消すということからハブソウとなったとか?
ハブ茶の原料であるが、現在は、エビスグサの種子が原料として利用されている。
熱帯アジア原産で、江戸時代に中国から渡ってきた。種子(扁平で艶がない)を望江南(ボウコウナン)といい、健胃、緩下、虫刺されに用いる。

(写真と文) Air星人
河原撫子(カワラナデシコ)  Dianthus superbus var. longicalycinus


写真 2011年8月7日

秋の七草の一つ。 ヤマトナデシコ、ナデシコ等と言われる。種子を瞿麦子(クバクシ)といわれ、血圧降下、浮腫、膀胱炎、生理不順に用いる。

女子サッカーワールドカップ。全日本女子サッカー選手団の愛称は「なでしこジャパン」。
「やまとなでしこ」とは、日本女性の清楚な美しさをほめていう語。確かに下向きに戦い続ける彼女らの姿を通して、心の清らかさと強さが見て取れ、とても元気をもらったように思う。

(写真と文) Air星人

桔梗(キキョウ)  Platycodon grandiflorus


写真:2011/8/7

これまた、秋の七草。秋の七草の一つ、「朝顔の花」とはキキョウのこと。根は桔梗根(キキョウコン)。重要生薬の一つで、鎮咳、去痰薬、化膿性の腫れ物などに利用される。
最近、めっきり野生のものは数が減っている。鹿児島県では絶滅危惧類。おとなりの宮崎、熊本では絶滅危惧類に指定されている。

<参考>
1997年環境省 レッドデータブックカテゴリー(地方版と少し分類が一致していない可能性あり)
•絶滅(EX):我が国ではすでに絶滅したと考えられる種
•野生絶滅(EW):飼育・栽培下でのみ存続している種
•絶滅危惧I類(CR+EN):絶滅の危機に瀕している種
o絶滅危惧IA類(CR):ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種
o絶滅危惧IB類(EN):IA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種
•絶滅危惧II類(VU):絶滅の危険が増大している種
•準絶滅危惧(NT):現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
•情報不足(DD):評価するだけの情報が不足している種
•絶滅のおそれのある地域個体群(LP):地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの

(写真と文) Air星人

女郎花(オミナエシ)  Patrinia scabiosifolia


写真 2011年8月7日

「おすきなふくは」 (お好きな服は)

秋の七草の覚え方。「お」 オミナエシ、「す」 ススキ、「き」 キキョウ、「な」 ナデシコ、「ふ」 フジバカマ、「く」 クズ、「は」 ハギ。
オミナエシの名前の由来には2説ある。一つは、花が咲いた時の美しさが女性を圧倒するほど美しいから「女圧(おみなえし)」。もう一つは、くりのご飯、女飯(なみなめし)。
乾かした時の匂いが、醤油が腐ったようであることから、全草は敗醤(ハイショウ)。根は敗醤根(ハイショウコン)。消炎、排膿、利尿薬などとされる。鹿児島県では絶滅危惧類。

(写真と文) Air星人

赤芽柏(アカメガシワ)  Mallotus japonicus


写真 2009年4月19日

ずいぶん昔の話であるが、子供の頃、山を切り出した土砂で実家近くが埋め立てられた。しばらくすると、おそらく山に生えていたと思われる植物が芽吹きその姿を現した。そんな中の一つにアカメガシワがあった。それからは毎年、春先にその名前の由来となった赤い芽を目にするようになった。
薬学部1年時、生薬学の夏休みの宿題として、薬草100種類以上の採取と押し花作りが課された。まず、一番先に採取したのがこのアカメガシワ。
その赤い芽を道端で見かけるたびに、四苦八苦した薬草の押し花作りを思い出す。

樹皮を煎じたものは胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多症に効果があるとされる。
アカメガシワエキスは過敏結腸症における便通異常の改善を効能とする医療用医薬品として利用されている。

(写真と文) Air星人

鹿子草(カノコソウ)  Valeriana fauriei


写真 2009年4月19日

毎年4月29日には鹿児島県県民の森自然薬草の森で「薬草の集い in Spring」が開催される。園内を散策していると木陰に可愛らしいカノコソウ花を見つけることができる。何でも蕾が小鹿の模様のように見えるとかで“鹿子草”と名前がついたとか。
カノコソウは、日本全国の少し湿った山地に自生する多年草であったが、最近ではその個体数もすっかり減り、めったに見かけることができなくなっている。(鹿児島県絶滅危惧2類 植物432種の内の一つ)
一般的に花の時期は、5月~6月とされるが鹿児島では少し早めに花を観ることができる。
根は生薬名を吉草根といい、鎮静目的で利用される。

(写真と文) Air星人
野蒜(ノビル)  Allium macrostemon


写真:2009年3月21日

啓蟄とはよくいったもので、このころを境に日差しがぐんと春らしさを増してくる。それにつられ、心もどことなくそわそわし始める。野山に行きたい。
畑のあぜ道や水路脇の鮮やかで優しい緑の中にノビルを見つけることができる。食べることができるのは知ってはいたが、これまでは、少しもそれを口にしようと思ったことがなかった。
一昨年、とある山間の畑脇で草取り作業をしているご婦人から「これ美味しいから食べてみな」と、ノビルを頂いた。食べ方も教わったので、家に帰り早速、炒めのもの、酢味噌和え等にして食べてみた。ネギ、ニラやラッキョウなどの仲間であるから、味は多少想像できたがこれが意外にも、美味しい。草むしりの草とノビルが丁寧に分けられて置かれていた理由もそれで理解できた。“春の味”の一つなのだ。
さて、今年も・・・・・・ノビルを求めて散策に行くとするか。

鱗茎を乾燥させたものは生薬名、薤白(がいはく)。

腫れ物・できもの、虫さされなどに用いられたり、食欲増進、健胃、整腸、保温、安眠などの効果があるとされる。

(写真と文) Air星人
檜扇(ヒオウギ)  Belamcanda chinensis



人目を引く綺麗な花を付けるため、街中でも庭に植えられている姿を時折目にする。葉の出方は、まるで“扇”そのもの。秋には黒光りする種子を付ける。黒を連想させる夜や髪などにかかる枕ことば「ぬばたま」は、この種から。

黒玉之 夜去来者 巻向之 川音高之母 荒足鴨疾
柿本人麻呂 万葉集  巻7 1101

インド北部から中国、日本の暖地に分布するアヤメ科の多年草。乾燥した根茎は射干(シャカン)と称する。消炎、鎮痛、去痰作用があり、扁桃腺炎、咽痛などに用いるとされるが、素人判断での使用は避ける。観賞用としてお楽しみください。

(写真と文:Air星人)

甘茶(アマチャ)  Hydrabgea macrophylla var. thunbergii


撮影:2010年6月25日 薬剤師会前の花壇

かれこれこのコーナーも半年近く、いや、もっと、9か月近くお休みしていた。そろそろ再開。

今年の梅雨は異常。6月中旬頃からほぼ毎日が雨。しかも、バケツをひっくり返したような大雨が降る。先週からは気温も上がり、それこそジメジメジトジト茹だる様な暑さ。そのおかげか庭先の木々の葉がぐんとその密度を増し、一層存在感を示すようになった。昨年の夏、薬剤師会館前の花壇に移植したアマチャとヒオウギ、枯れそうになりながらも厳しい夏をやっとこさ乗り越え、今、その勢いを増し、綺麗な花を咲かせた。

<アマチャ> Hydrabgea macrophylla var. thunbergii

アマチャ、そう4月8日のお釈迦様の誕生日、小さなお釈迦様をかたどった仏像に頭からかける甘茶、その原料。みての通り、ガクアジサイにそっくり。最初から甘いのかと思い葉を齧ってみると、その期待は見事に裏切られる。苦い。ちっとも甘くない。その葉を甘くするには、一手間かかる。葉を摘み取り、揉んで半日ほど置いておき、その後ゆっくりと乾燥させる。そうすることで、葉の中に含まれる成分が分解されて、非糖質甘み成分であるフィロズルチンができる。フィロズルチンの甘みは、砂糖の1000倍とも言われる。非常に甘い。矯味料、甘味料として用いる。

(写真と文:Air星人)

痛取(イタドリ)  Polygonum cuspidatum


2009年10月18日 自然薬草の森 イタドリの実


2009年10月18日 自然薬草の森 イタドリの雌花?

“タチッポ” 子供の頃、そう呼んでいた。皆して春先に新芽をポキン、ポッキン折って遊んだ。実にいい音がする。塩を振り掛け、好んで食べる友達もいたが、いざ皮を剥き、口にするもエグミと酸味。それほど美味しいものではなかった。
とある大学の学生食堂、春になると味噌汁や炒め物の中に、妙な野菜が入っていた。箸でつまみ上げ、その様子をじっくりと眺めると、昔昔、見たことのある植物と気づいた。そう、“タチッポ”。学食で立派に食材として活かされ、懐具合の寒い学生の胃袋を満たし、予算の厳しい学食を助けていた。
クズの記事でも紹介したが、イギリスでは、運河脇にはびこり、駆除にてこずる外来植物として嫌われている。それこそ、若芽を刈り取って炒めて食べてしまえばとも思うが・・・ところ変われば食の嗜好も変わる・・・

“スカンポ”などとも呼ばれる。雌雄異株。花期7月~10月。根茎を虎杖根(こじょうこん)と称し、緩下作用、利尿作用があるとされる。揉んだ若葉は、擦り傷などで出血した個所に当て止血や痛み止めとしても利用される。

(写真と文) Air星人

楠(クスノキ)  Cinnamomum camphora


蒲生の大楠

11月15日、「日本一大楠どんと秋まつり」が蒲生神社で開かれた。蒲生神社の大楠は、根回り33.57m、目通り幹囲24.22m、高さ約30m、樹齢は約1500年とされ、昭和63年に環境庁が実施した「巨樹・巨木林調査」で日本一の大楠として認定を受けた。根元には畳8畳はあろうかと言う室があり、いかにも宮崎駿アニメ「となりのトトロ」の“トトロ”が住んでいると思わせる不思議な雰囲気を漂わせている。
「タンスに○○、亭主元気で留守がいい。」 かれこれ、20年ほど前流行った某防虫剤のテレビコマーシャル。当の防虫剤の主成分は、ピレスロイド系殺虫剤。それよりもずっと昔、防虫剤と言えば樟脳。元々クスノキの材や根を水蒸気蒸留して製造されていた。古い仏像等にクスノキが多く用いられているのは、巨木が得やすいこと、彫り易いことに加え、防虫効果とその芳香が邪を祓うと考えられたから。また、樟脳の主成分カンフルは、かつては強心剤としても利用されていたこともあり、現在も時折新聞紙面等に「景気回復の“カンフル剤”として・・・・」といったフレーズが登場し、その名残を見せる。
2008年NHK大河ドラマ「篤姫」、平幹二郎演じる薩摩藩 家老 調所広郷が密貿易の一件で自害する場面をご記憶の方も多いのでは。その密貿易の品々の中に薩摩藩が製造した樟脳も含まれていた。鹿児島県日置市東市来町美山には、“樟脳製造創業の地”の碑が建っている。 今でも、鹿児島のあちらこちらにクスノキを見かけ、鹿児島県の県の木がクスノキとなっている。

クスノキ: 本州、九州、四国に生える常緑高木。花期5~6月。材、葉に精油を多く含む。主成分はカンフル。香料、医薬品原料、防虫剤、打撲傷薬として利用される。

(写真と文) Air星人

艶蕗(ツワブキ)  Farfugium japonicum


2009年10月18日 自然薬草の森にて

秋、山道を車で走っていると黄色の花が目に飛び込んでくる。ツワブキの花である。ツワブキといえば、幼いころ、“ままごと”の格好の材料として遊んでいたのを思い出す。葉は刻んで菜っ葉の代用、そのまま使ってお皿。決して、食べるものではないと思っていた。

それから云十年、機会あって長崎のとある離島で生活することに。春先、病院の窓口、次から次へと真っ黒な指先をした女性患者さんがやってきた。そのあまりの数に、ひょっとして風土病?と思ってしまったが、尋ねてみると“ツワ”の皮を剥くと指先が真っ黒に染まるとのこと。“ツワ”これまた、特殊なものかと思いきや、なんのことはない、ツワブキのこと。彼女たちは、春先になるとこぞって近くの山に出向きツワブキを刈る。それを処理して料理する。あるいは下処理した状態で地域の店に卸す。姑と嫁が共同で、ツワを刈り、皮を剥く。ツワが処理できて、つまり指先が真っ黒く染まってやっと一人前の嫁とのこと。その島では、ツワは嫁と姑の絆を深める春を告げる山菜。

春の薬草の集い。モミジガサ、ギボウシ摘みがメインイベント。ところが、道端に見え隠れするツワを見つけるなり、人が群がる。両手にツワをいっぱいに抱え込みニコニコするお婆さん。えっつ、鹿児島でもツワを食べるんだ。九州では当たり前のことなのか?驚きの再来。春の野山は、春の味、“ほろ苦さ”でいっぱい。

ツワブキ: 福島県・石川県以西から四国、九州、琉球諸島(大東諸島と魚釣島を除く)に分布。花期10月~11月。民間療法では腫れ物やできもの、湿疹、打撲傷、下痢等に使われる。

(写真と文) Air星人

錦木(ニシキギ)  Euonymus alatus


2009年10月18日 自然薬草の森にて ニシキギ

今年は、9月下旬ごろから急に冷え込む日があったからであろうか、ニシキギが例年にも増してその赤を秋の空に際立たせていた。

ニシキギ:Euonymus alatus ニシキギ科 枝にはコルク質の羽がある。これを採取して乾燥させたものを衛矛(えいぼう)と称す。黒焼きにした衛矛をご飯粒と練り合わせ、ガーゼに拡げ、それを患部に貼り、棘抜きとして利用。衛矛を煎じ月経不順に用いる。

<薬草の集い>
鹿児島県薬剤師会主催により毎年4月、8月、10月の3回開催。開催日時などについては、南日本新聞などに参加者募集広告が掲載される。詳細等の問い合わせは、鹿児島県薬剤師会事務局 TEL 099-257-8288、FAX 099-254-6129、E-mail kayaku@kayaku.jp までお問い合わせください。

<自然薬草の森> 
県民の森緑化センター (霧島市溝辺町丹生附  Tel 0995-59-2374 )までお問い合わせください。

(写真と文) Air星人

藤袴(フジバカマ)  Eupatorium fortune


2009年10月18日 自然薬草の森にて フジバカマとアサギマダラ

春、夏、秋、「自然薬草の森」で“薬草の集い”が開催される。毎年、テーマを設け、春、夏、秋に薬剤師会の先生方がテーマに沿った漢方薬などの講演を行う。それと合わせて、春は、山菜採り。モミジガサ、ギボウシを参加者に摘んでもらう。夏は、植物採集。小中学生の夏休みの自由研究、宿題のお手伝い。秋は、・・・・。澄み切った秋の空気を胸一杯に吸ってもらい、リフレッシュのお手伝い。
「お好きな服は?(お・す・き・な・ふ・く・は)」、秋の七草の覚え方。「お」: オミナエシ、「す」: ススキ、「き」: キキョウ、「な」: ナデシコ、「ふ」: フジバカマ、「く」: クズ、「は」: ハギ。秋、自然薬草園を訪れると、それらの花を楽しむことができる。
10月になるとフジバカマが花を咲かせ、辺り一面によい香りが漂い始める。それにひらひらとアサギマダラが群がり、秋の少し寂しく澄んだ陽光の中、一種幻想的な光景をつくりだす。

フジバカマ: 関東地方以西の本州、四国の川の土手などに野生する多年草。近年、自生はめっきり減った。蘭草(ランソウ)と称し、利尿、止渇、通経薬、浴湯剤とする。葉を摘み取り乾燥させると、よりいっそう芳香が強まる。布製の小袋に詰めると匂い袋としても利用できる。

(写真と文) Air星人

木大角豆(キササゲ) Catalpa ovata

10月 奈良 唐招提寺 10月 奈良 興福寺

寺や神社に行くと時々キササゲの大木を見かけることがある。その昔、避雷針代わりに境内に植えられていた名残だろうか。秋には、ササゲ(大角豆)に似た細長い実をつけ一見してそれと分かる。
実の中には、両端に白毛のついた種子が詰まっている。実が縦にさけると種子が飛び出し、風によって運ばれていく。種子は、非常に発芽率がよい。そのためか、各地で自生化している。 花期は初夏。日本薬局方に収載。
生薬名:実を乾燥させたものは梓実(しじつ)。根の皮を乾燥させた物は梓白皮(しはくひ)。梓実には利尿作用、梓白皮には解熱作用などがあるとされる。実際に利用されることは稀。

(写真と文) Air星人


 枸杞(クコ) Lycium barbarum


写真 2009年11月16日 薬剤師会前の花壇にて

クコが赤い実をつけているのを見ると思いだす。かれこれ云十年前。毎年、兄弟して庭先に生えていたクコの実を競って集め、祖父に届けた。彼は、ニコニコしながら、それらを酒に漬け込み、整然と棚に並べていた。が、いつまで経っても、どの瓶も少しも液量が減っていなかったように記憶している。今にして思えば、私たちの成長を追うかのように毎年のラベルが貼られ整然と並べられた瓶を日々眺めることが、彼の密かな楽しみだったのかも知れない・・・・・・・・

花期8~11月。果実を枸杞子(クコシ)、根皮を地骨皮(ジコッピ)と称する。強壮、解熱、止瀉薬とする。また、地骨皮には、抗炎症作用、解熱作用などがあり、清心蓮子飲(せいしんれんしいん)、滋陰至宝湯(じいんしほうとう)などの漢方方剤に配合される。日本全土の川土手や溝の縁に生える。落葉低木。    (写真と文: Air星人)


葛(クズ) Pueraria lobata Ohwi



写真:2009年9月5日 上甑島にて


最近、鹿児島では指宿辺りでマングースが見つかったと大騒ぎになっている。おそらく奄美等にハブ退治を目的導入されたマングースが、何かの拍子に、指宿辺りに持ち込まれ(荷物にまぎれてやってきた?)、そこで繁殖してしまったのだろう。「マングースをハブ退治に・・・」、全く人為的な生物の移動と定着。それが、今、害獣として忌み嫌われている。人間の身勝手を、本来は被害者である小さな動物たちに押しつけようとしている。

何日か前、朝日新聞(8月17日)をみていると、日本産の動植物が諸外国で猛威をふるい、もとものと自然環境を破壊し、忌み嫌われるものとなっていることが報じられていた。オーストラリアのワカメ、イギリスのイタドリ、アメリカのクズ、etc.

ワカメは船のバラスト用水に遊走子が混ざりこんで、運ばれたらしい。ワカメ好きの私してみれば、それこそ、味噌汁やメカブの酢の物、茎の佃煮などにして食べてしまえばとも思うが、もともと海藻の食習慣のない国では、それも難しい。生態系を破壊する単なる悪者的位置づけに。

イタドリは、シーボルトが観賞用に持ち込んだものが野生化したとされる。今、その処理に困っている。春先、まだ柔らかいイタドリを刈り取り、刻んで、湯がいて灰汁抜きし、油で炒めて食べてしまう、あるいは味噌汁の具にしてしまえば、よいような気もするが、如何にも日本人的発想(山菜愛好家的発想)で、彼の地の紳士淑女にはなじまないかもしれない。

アメリカのクズは、1867年の博覧会の際に鉢植えが日本から持ち込まれた。以後、観賞用や飼料用、土壌流失防止用として栽培されたが、現在は野生化し、問題児扱い。有害植物及びに侵略的外来種のレッテルが張られた。日本でも、いたるところで繁茂しその生命力を見せつけている。

方や、吉野クズとして、その根のデンプンは、京の夏の風物詩、葛切りに欠くことができない。また、根の周皮を取り除き乾燥したものは、葛根(かっこん)と称され、葛根湯、葛根湯加川キュウ辛夷、升麻葛根湯、参蘇飲などの漢方処方に配される。漢方でもなくてはならない植物。

8月の終り頃から9月にかけ、目を引く房状の紫色の花をつける。秋の七草(オミナエシ、ススキ、キキョウ、ナデシコ、フジバカマ、クズ、ハギ)のひとつ。「オ・ス・キ・ナ・フ・ク・ハ?(お好きな服は?)」 それぞれの頭文字を並べると覚えやすい。

(写真と文:Air星人)


棗(ナツメ) Zizyphus jujuba  Miller var. inermis Rehder

薬剤師会館前の駐車場にはナツメが2本植えてある。3月ごろに小さな花をたくさん咲かせる。6月ごろには、小さな青い実をつける。そして9月にもなると大きくなった実が次第に色づき始める。もう少し待つと食べ頃になる。
赤くなった実は、少し甘みの弱いリンゴのような味と食感がする。もぎ取って熟成(?)させる(乾燥させる)と、とても甘くなり、ねっちゃり感が増し、タイソウ旨くなる。それこそ、子供のおやつにもってこい。スープなどの甘みづけとしても利用できる。難点は、虫がつきやすいこと。保存に一工夫いる。
一昨年は、それこそ豊作。去年はほとんど実をつけなかった。そして、今年は、これまま行けば豊作。台風などが襲いかからないことを期待しよう。


生薬名:
大棗(タイソウ) 食欲不振、腹痛、とう便、引きつるような痛みに功を奏する。利水作用もある。補気薬に分類され、甘草と同じように多薬の力を緩和する作用があるとされる。六君子湯などの漢方製剤に配合される。


(写真・文:Air星人)


2009年3月23日

2009年6月21日

2009年9月1日

2007年11月13日



川骨 (コウホネ)  Nuphar  japonica

北海道西南部以西の小川、沼地に生える。多年生草本。伸びた茎の先に1輪だけ黄色い花をつける。通常、国内での花期は6~9月頃とされるが、鹿児島では1か月近く早く花が咲く。根茎が骨のように見えることから名付けられたとされる。

根茎(生薬名 センコツ(川骨))として、強壮、駆瘀血(おけつ)、止血、浄血の目的で婦人薬として使用する。漢方処方「治打撲一方」に配合され、打撲によるはれ、痛みに用いる。

(写真と文 Air星人)

2009年4月29日 自然薬草の森
馬酔木 (アセビ)  Pieris japonica subsp. Japonica
分布: 本州、四国、九州に自生
花期:3月~4月

何年前になるだろう、高校時代。現代国語、堀辰雄 「大和路」の一節、浄瑠璃寺。そこに馬酔木が、登場する。時間が止まったようにそこにある、古めかしい山門、それに続く苔蒸した石段、緑青に覆われた塔の九輪、「静」、それらとは対照的に今を盛りと咲き誇る馬酔木、「動」。

馬酔木と聞くと、当時、高校生の頭が勝手に作り出したそんな画像が、今でも、鮮明な色彩を帯びて脳裏に蘇る。(注: 実際の浄瑠璃寺には山門に続く苔蒸した石段はありません)。

「池水に 影さへ見えて 咲きにほう 馬酔木の花を 袖に扱入(こき)れな」
万葉集 大伴家持

「磯の上に 生ふるあしびを 手折らめど 見すべき君が ありといはなくに」
万葉集 大来皇女

古くから歌にも詠まれる馬酔木(あしび、あせび)、その可憐な姿とは裏腹に、有毒成分グラヤノトキシン?を含む。馬が食べて足がなえてしまうので「あしじひ」と呼ばれ、転じて「あしび・あせび」となったとされる。
かつて、煎じ液は殺虫剤として利用されていた。庭木などに利用される。
(写真と文) Air星人

(3月、中冨記念くすり博物館、薬用植物園にて )

編笠百合(アミガサユリ)  Fritillaria thunbergii
ユリ科
花期:3~5月
成分:フリチリン、フリチラリン、ベルチオリン、ベルチシン、アポベルチシン、ペイミン

中国原産の多年草。花弁の内側に網目の模様があることから「編笠百合」と名付けられた。りん茎をバイモ(貝母)と称し鎮咳や去痰の目的で漢方方剤、滋陰至宝湯、清肺湯などに配合される。
(写真と文) Air星人

(3月、中冨記念くすり博物館、薬用植物園にて )

アケビ Lardizabalaceae

この時期、鹿児島県内の山沿いの道を車で走っていると、所々に紫色の花が咲いているのを見かける。アケビの花である。
アケビはつる性の植物で、葉が3枚のミツバアケビ(Akebia trifoliata Koidzumi)、5枚のアケビ(Akebia quinata Decaisne)、そしてそれらの交雑種と考えられるゴヨウアケビがある。秋には、うす紫色の実をつける。実は熟すとパッカリと唇を開いたように割れ、白くほのかに甘い果肉と、噛みつぶすと強烈な“えぐみ”のある黒い種子をのぞかせる。それこそ、昔は、自然がくれた子供らのオヤツ。今は、かろうじてスーパーマーケットの棚にならび、昔を懐かしむ人が買っていく程度。果皮は、挽肉などを詰めて、パン粉をつけてフライしたりして食べられる。
漢方では、アケビ又はミツバアケビの茎を輪切りにして乾燥させたものを木通(モクツウ)とよび、消炎性利尿、通経などの目的で方剤(五淋散、消風散、通導散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、竜胆瀉肝湯など)に配合し使用する。原料となる茎は、直径が1cm以上。それこそ何年もかけ成長する。それだけ立派な茎のアケビにはなかなかお目にかかれない。産地は、徳島、香川、群馬、長野、鹿児島各県。
(写真と文: Air星人)


黄連(オウレン)

 

 

オウレン(キンポウゲ科)
生薬名:黄連(オウレン)
薬用途:健胃、消炎
薬用部位:根茎
採取時期:秋
開花時期:冬(鹿児島県自然薬草の森では2月ごろ、本州では3月~4月)
分布:九州を除く本邦各地の山地の林内に生える多年草。(鹿児島県自然薬草の森では、20年ほど前から試験的栽培に成功)

 定例薬草教室の講師として薬草の森に待機しているのに、雨などで受講生が全くない時があります。そんなある日、薬草の森の管理をされているK氏が、「先生、これ分かりますか」と、いくつかの植物の葉っぱを目の前に差し出されます。我々薬剤師は漢方薬や薬草の使い方や、薬草をすぐ使える状態にしたもの(生薬)についての専門家であって植物についてはあまり詳しくない事を見越しての問題です。出されたのはセリとセリバオウレンでした。薬草の森の生えている場所を知っていたので、かろうじて面目を保てたのですが、野山にあると分からないかもしれません。生育状況や花を見ないと葉っぱだけでは区別がつきにくいものです。
黄連は漢方薬として重要なもので、瀉心湯(しゃしんとう)類などに主構成薬としてよく使用されます。特に瀉心湯類の基本となる三黄瀉心湯は心気不足、心気不定という状態の諸種の病態に用いられます。ちょっと難しいでしょうか。要するに、心配事が続いたり、勉強のしすぎ、また競馬やマージャンなどに興奮して、よく頭に血がのぼるといいますが、顔がほてったり、頭が熱くなったり、鼻血を出したりするような場合に用います。また、黄連解毒湯という処方にも黄連が配合されていますが、これも出血を止めたり、いわゆるのぼせを下げるのに用います。ただ、漢方では、体力の強弱を実証とか虚証という尺度で言い表しますが、これは実証向きであり、長期連用すべきものではありません。(戊子)(薬草の詩、第1版より引用、一部改変)

案内:鹿児島県自然薬草の森
http://www3.pref.kagoshima.jp/suisui/55-mizobe/009/
http://www.pref.kagoshima.jp/kenko-fukushi/yakuji-eisei/yakuso/yakuso_27900.html




牡丹(ボタン)
別名:フカミグサ、ハツカグサ、ナトリグサ〔[ボタン属 ボタン科〕

昔から日本美人を花に例えて「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と歌われます。実はこれ生薬の使い方を示しています。きりきりとお腹が痛くなれば芍薬を、長く座って痔になれば牡丹を、ノイローゼなどには百合を飲みなさいと。牡丹は芍薬と同じ「ボタン科」の植物で中国から伝わって来ました。どちらも根の部分を使い、牡丹は血流を良くする為、芍薬は筋肉の緊張を取り除いたり水の流れを良くする為、漢方薬の処方として利用されています。外観から見るとよく似ていますが牡丹は「木」なのに対し、芍薬は「草」の分類に分けられます。

【分布】
原産地は中国。平安期以降、日本でも鑑賞用や薬用として広く分布。花期は4~5月。
【薬用部分】
根皮。(日局)牡丹皮<ボタンピ>。
【採取時期】
使用株は4~6年。秋(10月ごろ)に根を掘り上げる。
【成分】
オペノールほか。
【薬用途】
月経不順、痔、虫垂炎、便秘など。
botan