学名:Coptis japonica (Thunb.) Makino var.major (Miq.) Satake

科名:キンポウゲ科  用部:根茎

生薬名:黄連

用途:消炎、止血、精神不安など

代表的な漢方薬:黄連解毒湯、半夏瀉心湯

説明文:
初春に白い目立たない花をつけ、山地の木陰に自生する小型の多年生草本。播種より収穫するまでに最低5-6年を要する。生薬名は黄連。黄のつく生薬は苦いものが多い中、これは特に苦く、残留性もあり、しかも唾液を黄色に染めるほどなので、民間薬としては殆ど用いない。漢方的には急性疾患に繁用される処方に配合され、体のほてりを抑え、消炎、止血、健胃、鎮静などの効能があり、食欲不振、腹痛、下痢、意識障害、不眠、鼻血などに用られる。

薬草の詩:
定例薬草教室の講師として薬草の森に待機しているのに、雨などで受講者が全くない時があります。そんなある日、薬草の森の管理をされているK氏が「先生、これが分かりますか」と、いくつかの植物の葉つぱを目の前に差し出されます。我々薬剤師は漢方薬や薬草の使い方、薬草をすぐ使える状態にしたもの(生薬)についての専門家であって植物についてはあまり詳しくない事を見越しての問題です。出されたのはトリカブトの一種とゲンノショウ コ、セリとセリバオウレンでした。薬草の森の生えている場所を知っていたので、かろうじて面目を保ったのですが、野山にあると分からないかもしれません。成育状況や花を見ないと葉っぱだけでは区別がつきにくいものです。
黄連は漢方薬として重要なもので、瀉心湯類など、よく使用される漢方薬の主構成薬です。特に瀉心湯類の基本となる三黄瀉心湯は心気不足、心気不定という状態の諸種の病態に用いられます。ちょっと難しいでしょうか。要するに、心配事が続いたり、勉強のしすぎ、また競馬やマージャンなどの賭け事などで興奮して、よく頭に血がのぼるといいますが、顔がほてったり、頭が熱くなったり、鼻血を出したりするような場合に用います。また、黄連解毒湯という処方にも黄連が配合されていますが、これも出血を止めたり、いわゆるのぼせを下げるのに用います。ただ漢方では体力の強弱を実証とか虚証という尺度で言い表しますが、これは実証向きであり、長期連用すべきものでもありません。(戊子)