トチバニンジン

 

学名:Panax japonicus (T.Nees)C.A.Mey.

科名:ウコギ科  用部:根茎

生薬名:竹節人参

用途:解熱、去痰、咳、吐血、健胃

代表的な漢方薬・その他:人参の代用

説明文:
日本にも野生品が産出し、根茎に茎跡がつくことで節を形成しているように見えることから竹節人参とも呼ばれる。健胃薬や去痰薬に応用される。南九州産は効果が良いと言われています。漢方処方としては小柴胡湯、半夏瀉心湯の人参の代用として使用される。

薬草の詩:
8月も半ばを過ぎると、トチバニンジンは、真紅のつぶらな宝石の輝きにも似た果実をつけます。根は1年に1節ずつ横に伸びるので、30節もあれば、30年生ということになります。発見者一官何欽吉は、これに和人参または薩摩人参と名づけ天下に広めています。
庄内地理誌(1803年)によれば「日本正保(1644~1648)の頃、韃靼より、大明の代を逃れんと、明国一同に騒ぐ、此の乱をさけんが為、広東潮洲より船を出して海上道のり八百余里の風波を便りて、一官何欽吉、天水二官、江夏生官、清水新老、汾陽青音などいえる明人、隅州内之浦に入津」とあります。
当時内之浦は、都城領の飛び地であったため、一行は都城領唐人町へ入居。領主久直の未亡人春嶺に重用され、何欽吉は知行20石を受けています。和漢三才図会(1713年)には、和人参昔本朝にあり、薩摩より出づるものを、小人参と名づける。また本草網目啓蒙(1803年)にも、和人参諸国に産す、その昔薩摩よりいづ、故に総じて、薩摩人参と呼ぶ。とあり、何欽吉の発見を裏づけているのです。
この人参は、解熱、健胃、心下痞硬にすぐれた薬効があるので、小柴胡湯や半夏瀉心湯には、これを用いる臨床家が多いのです。中でも、京都の細野診療所、故細野史郎先生は、細やかな用い方をしておられます。柴胡加竜骨牡蠣湯、麦門冬湯、理中湯、半夏瀉心湯、木防巳湯などには、このトチバニンジンを 用いてきました。 (竜)

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