学名:Bupleurum stenophyllum (Nakai) Kitag.

科名:セリ科  用部:根茎

生薬名:柴胡

用途:炎症、鎮痛

代表的な漢方薬:小柴胡湯、補中益気湯、抑肝散

説明文:
本州中部以西に分布する多年草。日当たりの良い野山に自生し、草丈70cm~120cmになる。8月~10月、黄色の小花を傘の形につける。江戸時代、三島物が評判でこの名がついた。自生は急速に減少しつつあり、絶滅が危惧されている。11月頃、根を掘りとり、茎を除いて水洗いしてから日干しにする。生薬名 柴胡 消炎・解熱作用があり、漢方処方に用いる。

薬草の詩:
高原の秋。そこで、ススキとファミリーを組んで、 ポツンポツンと黄色いオミナエシに似た花が陽光を浴びているとしたら、それはまさしく柴胡です。霧島山麓・牧ノ原・輝北の高原地帯に、往時良質の柴胡の自生がありました。
「往来寒熱、 脇胸苦満、黙々として飲食を欲せず、心煩、喜嘔の症は、小柴胡湯を用いよ」と古典(傷寒論大陽病中篇)にあります。この処方は柴胡剤の代表で、長期には用いませんが、これを基にした一連の柴胡剤は多用されています。人が感染・発熱・解熱して治癒、または慢性化へ移行する病態のヒトコマを切り取り吟味すると、おおかたはこの「柴胡剤」の守備範囲に入るようです。さる著名な臨床家が、柴胡の証は食いすぎによる肝臓の悲鳴、と大胆に表現しておられます。柴胡は黄芩(コガネベナ)と組んで、脇胸部の炎症をとり除いてくれるのです。
この最重要の柴胡も、現在年間圏内産400t 、輸入品1,000t で、過半を中国に頼っています。
筆者は過ぐる年10年間、柴胡栽培の研究に取り組みましたが、2年生以降は線虫にやられて成功しませんでした。
良質柴胡の需要は今後ますます増えてきます。では良質とは、と問われると、今ひとつ分かりません。成分のサイコサポニンはヒゲ根の部分に多量に含有。中国柴胡も規定のサポニンを含有しています。しかし良質柴胡といわれる物のサポニン含有は、それらに比較して少ないのです。化学成分だけで生薬の薬能を決めることの「こわさ」があります。(双竜子)